居心地 ページ19
kn side
宿屋を出てからも特に会話もないまま、
パーティー会場にやって来た。
シャンデリアの光が、大広間に集まる人々の装飾品に反射して眩しいし、
いろんな香水のにおいが混ざってむせ返りそうだ。
『陛下。』
呼ばれて彼女の視線を追えば、その先にはS国の王族が挨拶に応じているところだった。
kn「行くか。」
『はい。』
S国王を始め、各国の王族に挨拶をしてまわり、
一息つく間もなく今度は貴族達からの挨拶に応え、
気づけば会場に入ってから1時間半が経とうとしていた。
kn「…(はぁ……きっつ…まじで…)」
1時間半もの間、休む間もなく歩き回って、声をかけたりかけられたり…
話長ぇ奴とかおるし既に酒で気分良くなっとる奴もおるしなんかもう疲れるわまじで
ため息の一つもつきたいところ。
いや、なんならタバコの1本でも吸いたいところ。
『…陛下、そろそろ』
kn「んぁ？」
Aの言葉を遮るように、一筋の音が会場に響き渡る。
その音が余韻を残して消えた瞬間、緩やかなクラシックが始まった。
すると大広間は中心を空けるように人々が移動し、
あちらこちらでダンスの申し込みなんかをしている光景が目に入り始めた。
『陛下。あちらへ。』
kn「え、おぉ…？」
そう言って連れてこられたのはテラスのような場所。
ダンスが始まったのか貴族達はそれに夢中でこちら側には目もくれない。
『もう挨拶は全部終わりましたし、しばらくここで休んで、時を見て帰りましょう。
何か軽く食べるものいただいてきましょうか？お酒飲まれますか？』
kn「え」
俺を見る目があまりにもまっすぐで、思わず肩の力が抜けた。
『…陛下？』
kn「いや、食べ物はまた後でええわ。シャンパンだけそこのウェイターからもらおか。」
歩いていたウェイターに声をかけ、シャンパンを2つ貰う。
特に意味もなく二人夜空を眺めながら、シャンパンを口につける。
二人の間にある微妙な距離が縮まることもなく、
何か会話を交わすこともなく、
なんとなく心地の良い時間が流れていった。
そしてそのまま、お互いのグラスが空になったタイミングで宿屋に戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イデア(プロフ) - めさん» な、なんだってーー！！？(((すいません初コメにテンションが上がってしまいました、ありがとうございます…！！励みになります！ (2022年8月21日 0時) (
レス) id: 8186d383a3 (このIDを非表示/違反報告)
め - この作品ほんと大好きです (2022年8月21日 0時) (レス) @page47 id: b02816ae41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イデア | 作成日時：2022年6月19日 0時
