36粒。 ページ36
優しい顔をしていた。
恐る恐る距離を詰めていく。
また捕えられるのではないか、嘲笑われるのではないかという心配をよそにそのお爺さんはガバッと頭を下げた。
｢申し訳ありませんでした｣
50は離れていそうな歳上に頭を下げられる。
よく分からなくて、なんの言葉も発せない。
何でこの人が謝るのか。
誰なの、あなた。
そんな疑問を汲み取るかのように、小さな声で話し始めた。
｢私はこの建物の所長です。20年前から多額のお金を貰う代わりに、このことを内緒にするようにと強く命じられました｣
口止め料。
この人だって自分のことが可愛かった。
｢ずっと自分を恥じてきたのです。未来ある子供の希望を途絶えさせ、自分はのうのうともらった金で暮らしている。情けなかった｣
｢あなた方の計画を小耳に挟みどうにか協力出来ないかと思った次第です。遅くなって申し訳ない｣
『警備員は、どうしたんですか』
｢休憩中飲んでいたコーヒーに睡眠薬を入れました。熟睡しています｣
それで、誰もいなかった。
この人1人がやった。
協力なんていう言葉をここで聞くとは思わなかった。
｢もうじき太陽が上がります。何もしてこなかった私に最後はお手伝いさせて下さい｣
手招きをしてロックの前に立つ。
あたしたち2人の背中を扉の前に押し出して。
｢あなた方は、生きるべきだ｣
何やらぱちぱちとボタンを押し、浮かび上がった文字。
ズーッと、目の前が開けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 247人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
浅野(プロフ) - カジャさん» 画像戻したのですね…！カジャさんの思い通りにやってくださいね(⌒0⌒)／~~ (2019年6月24日 22時) (
レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)
浅野(プロフ) - カジャさん» そうなのですか、！ならいいと思います！私の意見だけを使っていても他の読者さんは楽しめないと思いますので、どうぞ使ってください(^_^)/ (2019年6月10日 23時) (レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 浅野さん» 本人ですね…ダメ元で画像申請しましたが許可が降りたので使用していました。ですが他の方が疑問に思う以上消させていただきます。すみません。 (2019年6月10日 23時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - お酢んさん» ありがとうございます。ファンタジーなので共感は出来ないかもしれませんが…楽しみにしていただけたら嬉しいです´`* (2019年6月10日 23時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
浅野(プロフ) - 本人様の画像を使うのは良いのですか？それとも画像は御本人ではないのですか？ (2019年6月10日 22時) (レス) id: 5193938615 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カジャ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734
作成日時：2019年6月1日 0時
