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変態登場 ページ2

「......やっとついたわね」


「ここまで長かったですね」



海を越え山を越え、やっとの事で辿り着いたこの街は相変わらず賑やかだった
初めて来た時とは違い、私の気持ちは沈んではいない
ただマスカだけが心配だった。アイトが言うには今の時期マスカは長期休暇で領主邸にいるらしい
私達は心配を胸に領主邸の扉を叩くと、1人のお手伝いさんが顔を覗かせて、アイトの顔を見るなり慌てて頭を下げた



「お久しぶりでございます、アイト様」


「久しぶりだね、エイカ。こちらは僕と共に旅をしてくれているユリさんだ」


「よろしくね、エイカ。賢者をしているわ」


「よろしくお願いします。こちらへどうぞ」



初めて見たアイトの普通の態度が新鮮だった
こんなに長く一緒にいるのに知らない面があるなんて、ますます燃えてしまうのは私が探求心の塊だからだろうか、それとも私が、ただのユリだから?なんだか、変な気分
アイトの隣を歩いていると、途中で執事と思われる人がアイトの案内を変わり私はエイカに別室に連れて行かれた
......そしてこの部屋で待っているように言われ、何十分が経過しただろうか
うとうとと船を漕ぎながら待っていると、カチャンと静かに鍵の音が響いた
目を擦りぼやけた視界に欠伸をしようとすると、頬に誰かの指が触れる
その瞬間、膨大な魔力を感じ私は思わずその手を叩いた
扉が開いた、その音のみだった。私の警戒を発動せずにぬるりと忍び寄ってきたのだ
その姿を見ると鼓動の音がバクバクと鳴り響いて、冷や汗が背中を伝う
私を見下ろしてにっこりと笑う、メウラがいた



「......どうしてここにいるのよ」


「招待してくれたんですよ、マスカが。さて、共にティータイムを楽しみましょうか」


「マスカ......こんな状態で楽しめる訳がないでしょ?ティータイムなんてどこかのご令嬢とでもやっていればいいわ」



私がマスカの部屋に行こうとし立ち上がると、その腕を掴んでソファに身体を押し付けられてしまう
細い身体からは想像もできない力に抵抗することもできない
魔法も相殺されてしまい、高位魔法も使えないこの状況ではどうしようもなかった
私が溜息を吐いて抵抗しない様子を見ると満足そうに腕を離した



「紳士とは思えないわね」


「貴方は珍獣ですから、仕方ないでしょう。紳士的にご招待しますよ」



そう言って手渡されたのは封蝋が付けられた便箋だった
この際封蝋の意味は無いものの、公式的な便箋を見ると嫌な予感しかしなかった

招待状→←始まる冒険



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砂糖丸(プロフ) - 只野さん» 凄く嬉しいです!展開に悩んだまま未更新になっていましたが、書く気力を貰えました。ちょっと急いで書いてきます!w (2020年3月12日 9時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
只野 - いつも面白い物語をありがとうございます。私は砂糖丸さんがかくお話が好きです!更新頑張ってください! (2020年3月11日 21時) (レス) id: 6cd76ca198 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖丸(プロフ) - イアルさん» ありがとうございます!コメント嬉しいです、凄い時間を掛けてしまって申し訳ない限りでした......そう言って頂けると嬉しすぎます、ありがとうございます!┏〇 (2019年11月9日 8時) (レス) id: c1639a6bbb (このIDを非表示/違反報告)
イアル(プロフ) - ん待ってました……!更新お疲れ様です、いつも素晴らしい物語をありがとうございます。 (2019年11月8日 18時) (レス) id: dff6dfdeb1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂糖丸 | 作成日時:2019年11月8日 17時

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