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慎「けどさー。本当のこと言うと、別れるとは思ってなかったわけ」
「うん」
私もそう思ってた、と口にすれば慎ちゃんは「じゃあ、どうして?」と静かに問いかける。
慎「紫耀?」
「それもある」
慎「うん」
「紫耀のことも大きいよ。あのままじんと別れない選択をしてたら紫耀のことは絶対に気になっちゃう。けど、それよりも私たち自身がどんどんダメになっていくかもしれないってたまに怖かった」
慎「ダメになる?」
「不思議なの。じんといると、『好きだから側に居たい』って感情よりも『失いたくない』とか『離れたら苦しくなる』って感情が大きかった」
じんと一緒にいる時はずっとそうなの、と小さく呟けば慎ちゃんは「・・・そっか、」と返事をした。
「・・・引いた?(笑)」
慎「いや、」
「いいの。みゅうさんにも『それは依存だよ』って言われた」
あの時めちゃくちゃみゅうさんに怒っちゃったけど、別にそう捉えられても正解だから。
慎「だいぶ辛辣」
「本当それ、喧嘩したもん」
慎「でも、神宮寺と一緒にいるAは苦しそうじゃなかったよ。俺にはいつも嬉しそうに見えてた」
「うん、そう。嬉しかった」
慎「お互いのこと信頼してるんだなぁって思ってたし、初めてタルーレで2人見たときに『お似合いだなぁ』って思ったし」
「じんの側にいるとなんでも許してくれるし間違っても大丈夫って思えた。この世のみんなが私を見捨ててもじんだけはずっと私の味方だって、そう思ってた」
慎「うん」
「じんだけ居ればいいやって思ってたけど、そんなじんがみんなに出会わせてくれて。今こうやって慎ちゃんと喋ってる。こんな話が出来ると思ってなかった」
自分のことをあまり人に言えなかったけど、こうやってちょっとずつ自分の話をすることが出来るようになったのも...じんのお陰だと思ってる。だから、ずっとじんが大事。
慎「それは俺も思うよ。Aがこういうことを話す相手に俺を選んでくれたのすげー嬉しいし。まぁ、ちょっと吃驚してるけどね!(笑)」
「ふふ、そーだね。好きな人の話をする男友達は顕嵐だけだったから」
慎「そのポジションに並んだのか俺?」
「ふふ」
嬉しそうな慎ちゃん。その横顔に「ありがと」と小さく言えば「いつでも聞くから!」と大きく笑った。
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作者名:愛美 | 作成日時:2020年9月8日 23時