25 ページ29
宮「ないとぷーるだよ顕嵐?」
顕「楽しみじゃん」
紫「ここからの景色めちゃくちゃいいからな」
サ「超楽しみ」
玄「早く行こ」
みんなの背中を見つめて「はぁ」とため息を吐く。
ちょっとだけモヤモヤしてる。それがじんのせいであるのも分かってる。
じんのことをどんどん知らなくなっていくと分かっていたはずだし、じんが新しい環境に飛び込んだことで変わってしまうかもしれないというのも承知のことであった。
それが嫌なのではなくて・・・それを心から受け入れられるようになりたいと思う。
何があっても大事な人だし、いつでも助けてあげられるような立場でありたいと願う。
けど結局、いずれお互いのことは薄れていく。
それが寂しくて悲しいことを知っていたけど・・・ちょっとだけ咀嚼する時間が欲しくて立ち止まった。
慎「A?」
立ち止まった私に気がついた慎ちゃんが数歩戻ってきて「どうかした?」と問いかけてくる。
「先に行ってて」
慎「え?」
「私まだここに居たいから」
慎「どうしたの?」
何も言わない私に慎ちゃんは何か悟ったように一回頷くとさっきまで座ってた場所に戻り、何も言わずに隣をぽんぽんを叩いた。
慎「なにか考えてるでしょ今」
「え?」
慎「神宮寺のことだ」
「・・・、」
慎「分かっちゃうもんね〜」
ふざけたようにそう口にする慎ちゃん。
どうして分かったのだろう、と考えていたら慎ちゃんは「実を言うとさ・・・」と話し始めた。
慎「さっきAが海から居なくなった時、また神宮寺が来たのかと思って(笑)」
「え?(笑)」
慎「今年も攫っていったのかと一瞬考えちゃったよね」
「そんなまさか」
慎「ふふ、まぁそれぐらい去年は衝撃だったんだけど」
「・・・うん、」
笑いながら話す慎ちゃんが「ねぇ、A?」と落ち着いた声で私を呼ぶ。
「なに?」
慎「もし神宮寺が来たらどうする?」
「え、」
そんなことを問い掛けられるとは思ってなくて慎ちゃんの顔を見つめたまま何も答えられなかった。
慎「もしも、の話だけど」
「来るわけないよ」
慎「だから、たとえばなし。」
「そんなの...、」
そんなの、困るに決まってる。
「じんが来たら、困る」
慎「ふーん」
慎ちゃんは私の回答に数回頷けば「困るのかー。まぁそうだよな?(笑)」って笑った。
91人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛美 | 作成日時:2020年9月8日 23時