検索窓
今日:14 hit、昨日:84 hit、合計:945,961 hit

44 ページ45

それでもやっぱりやられた方はちょっぴりへそも曲がるだろう。

少し口をとがらせながらデータを消去してパソコンを片付ける。

世良さんは鋭かった瞳を少し和らげて言った。


「それじゃ、安室さんと付き合ってるっていうのも嘘?」

『…どうだと思う?』

「どうかなぁ、小日向さんは大人っぽいから年上の男性と付き合ってても納得はできるけど」

『探偵ならもうちょっと考えてみてよ』


軽く笑ってそう返す。

わざとらしく髪を揺らした。野外炊飯の時に切った理由を聞いてきたのは世良さんの方だ。

しばらく私を見つめていた彼女は、「あぁ」と零した。


「…髪を切ったのは失恋で?」

『…そうだね』


そっか、と静かな声が返ってくる。

伏せていた目を上げる。私と目が合った世良さんは、小さく笑って言ってくれた。


「短い髪も似合ってると思うよ、A君」


いきなり変わった呼び名に固まる。

けれど、すぐにこっちも笑い返して答えた。


『あはは、ありがとう世良ちゃん』


下の名前で呼んでくれる同級生なんて、少し前まではゼロだったのにな。

なんだかくすぐったいような変な気持ちだ。

…そういえば蘭ちゃんと鈴木さんはどこへ行ったんだろう。

世良ちゃんがしばらく来ないように言ってたのかな。

ようやくそのことに気がついた時、世良ちゃんはおもむろに携帯に目をやり、苦笑いを浮かべた。


「A君、多分今からそれなりにきついことが待ってると思うよ」

『へ?』

「キミと安室さんが付き合ってるなんて知った園子君たちがなにも言わないと思うかい?」

『…あ』


そうだ。今まで縁がなかったからすっかり忘れていた。その可能性を。

普通の女子高生が大好きなもの。…それは恋バナである。


バンッと部屋のドアが開く。

飛び込んできた二人は、脇目もふらずに私の方へ詰め寄ってきた。


「ねえ!安室さんとどうやって付き合い始めたの!?」

「一体いつから!?やっぱり出会ったのはポアロ!?」


あまりの勢いに仰け反った瞬間、携帯が着信を告げる。

通話ボタンを押せば、小さな名探偵さんの声が耳をつんざいた。


「おい!!蘭からメールで聞いたんだけどお前ついに安室さんと付き合い始めたのか!??」


『…はは』


勘弁してよ…

この後始まるであろう怒涛の質問攻めと夜更かしに、私は半笑いでお菓子の袋を開けた。

45:ジェラート→←43



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (617 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1502人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。