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Aside


目覚めた埃っぽい部屋は静まり返っていて、私以外には誰もいない。

ここがどこかなんてことはわからないけれど、先程発信機の電源を付けたから降谷さんにはわかるだろう。

スマホやらはもちろん取られていたが、発信機には気づかれてなかったようで助かった。


縛られた腕の痛みも、スタンガンを当てられた首の火傷の痛みも、正直そんなに気にならない。

頭の中は、さっきからずっと同じことで埋め尽くされていた。


今まで私が関わった悪い奴らに身元がバレたのかもしれない。私が公安の協力者だとバレて連れてこられたのかもしれない。

どこだ。どこでしくじった。

記憶を掘り返しても掻き混ぜても大した成果は得られない。


まだそうと決まったわけではないけれど、もしも拉致られた理由が公安絡みなら。

私はもう、降谷さんの協力者をさせてもらえないかもしれない。


生きて帰れる保証なんてどこにもないのに、私はそのことばかり考えていた。

あぁもう、迷惑だけはかけたくなかったのに。


そんな時、急にドアの鍵が開く音がし、男が1人部屋の中に入ってきた。


「目が覚めたか」

『……』


抜いていた力を体に込め直して、背筋を伸ばす。

無精髭がみっともない、いかにも悪そうな男だ。少なくとも見覚えはない。

タバコに火をつけた彼を睨みつけ、声の震えを抑えて言った。


『…あなたたちは誰ですか』

「あ?」

『なんのために私を攫ったんですか』


しばらく私のことを見ていた男は、やがて軽く笑って煙を吐く。タバコ臭い。

彼は私にその顔を近づけ、そして答えた。


「ご令嬢攫ってやることなんざ1つだろ。身代金の要求だよ」

『…………っえ?』

「むかつく小日向グループの奴らへの仕返しさ」

『あ、そっち…?』

「あ?なんだよ」


身代金……

あぁ、なんだそっちか…

なるほど、確かに公安云々よりそれが1番ありえそうな話だ。

叔父様と叔母様は性格がいいとは言えない人だし、恨みを買うこともそりゃあるだろう。

籍では彼らの娘である私は一人暮らしだし、大層狙いやすかったことだろう。


一気に力が抜けた。

安心するような場面じゃないけれど、1番危惧していたことは避けられた。

身代金が目当てなら私のことを殺す可能性は低いし、小日向本家も恐らく金を出す。


あからさまにホッとした私を見たからだろうか。

男は気に食わなさそうに舌打ちをし、タバコを噛んだ。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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