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コナンside


「おい!A!?A!!」


短い悲鳴と、スマホが地面に叩きつけられる音。

数人の足音が響いた後に通話が切れ、サッと血の気が引いた。

まずい。今のは間違いなく何者かに連れ去られた音だ…!


「…っくそ!」


風呂上がりで髪が濡れているのも気にせずにスケボーを持って家を飛び出した。

杯戸駅の、までは聞こえた。

それに加えてあの音の反響具合。女の子を拉致れるほどの人通りのなさ。

十中八九、杯戸駅の地下通路だ。


街頭に照らされた夜道を走りながらスマホの通話ボタンを押す。

とりあえずあの人に知らせなければ。


「もしもし安室さん!?Aお姉さんが…!」





通路の中に反響する自分の足音を聞き、やっぱり、と確信した。

きっとAはここで攫われた。なにか手がかりはないかと周囲に気を配りながら走っていく。

そんな時、視界の端でなにかが光った。


「コナンくん!」


焦りの混じった声が響く。

杯戸駅の地下通路で、と先程電話で話した安室さんが到着したらしい。

息が切れている彼は、バーボンの衣装を纏っている。

俺は床に落ちていた物を拾い上げ、安室さんに見せた。


「これ、蘭姉ちゃんがAお姉さんにって買ってきた修学旅行のお土産だよ…」


それは控えめなデザインの桜の髪飾り。

小日向さんにきっと似合うから、と蘭が買っているのを隣で見ていた。

これがあるということは、ここで連れ去られたのは間違いないだろう。

同じ結論に至ったらしい安室さんが頷く。

そしてスマホを操作しながら俺に尋ねた。


「とりあえず状況を聞かせてくれるかい?何故君がこんなところに…」

「あ、うん。えっと…」


そういえばまだ話してなかった。俺はその時のことを思い返しながら口にする。


「10時くらいにAお姉さんから電話がかかってきたんだ。誰かにつけられてる気がするって…」


しかし、そこまで言った時だった。


「は…?」


あまりにも冷たすぎる声が耳に届いて、ギクリと背筋が凍る。

…彼は、安室さんは、いつの間にか俺の方を見ていて、言ったのだ。



「───僕よりも先に君に助けを求めたのか…?」

「ぇ……」


凍てついた冷たい瞳の中に、怒りにも似たなにかがじわりと滲む。

容赦なく向けられた視線に、肌が粟立った。

予想外すぎる反応に言葉を失って、誰も通らない地下通路に沈黙が降りる。


やがて安室さんは、自分を落ち着かせるように深く息を吐いてから歩き出した。

21→←19:フォンダンショコラ



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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