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19:フォンダンショコラ ページ20

それは帰るのが少し遅くなってしまった夜のことだった。


人気のない道に響く自分の足音に呼応するように聞こえてくるもう1つの足音。

いや、1つじゃない。正確にはわからないけど、複数いる。

早足で駅の通路を歩み進める。

背中を嫌な汗が伝った。


尾行なんてされるのは、多分初めてじゃないだろうか。


気味が悪くてどうにも焦ってしまって、思考が上手く纏まらない。

通る気のなかった道を突き進んでしまう。

落ち着かなきゃ、と思っても逃げ出してしまいたい気持ちが頭をかき乱す。

どうしよう、どうすればいいんだろう…!

なんとかしなきゃ、家には帰らないようにして…えっと、それで…っ


もう隠す気はないのかと思うほどの露骨な足音が追いかけてくる。

ほとんど無意識に携帯を開く。

なにかあったらすぐに言え、と降谷さんに言われていた。

とりあえず彼に…!


しかしそう思って通話ボタンを押そうとした瞬間、画面に表示された時刻が目に入って手を止めた。


『…明後日の、夜、10時』


2日前に聞いた言葉だ。

降谷さんが、電話の向こうの誰かに言っていた。

…誰かじゃない。黒の組織の幹部に。

今の時刻は10時過ぎ。

きっと降谷さんは組織の仕事中だ。


ダメだ。そんな時に助けを求めるなんてできるわけない。

降谷さんには迷惑だけはかけたくない。

彼の邪魔になるようなことだけは…


『……っ』


通話ボタンを押した。

相手は降谷さんじゃない。数人しか知らない電話番号のうちの1人。

彼は、数コールしてからすぐに電話に出てくれた。


「A?どうした?」

『ごめん工藤、小学生はもう寝てたかな?』


震える声を隠そうとすれば、そんな軽口は自然と飛び出した。

「はぁ?」と不機嫌そうな声が返ってくる。


「なんだよ、まだ起きてるから用があるなら言えよ」

『あぁ、うん…えっと……』


人と話していれば気分も紛れる。

私は声を抑えて彼に言った。


『なんか、誰かにつけられてる気がして…』

「は!?」

『ごめん、ちょっと、どうしたらいいかわかんなくて、』


ガタンッと工藤が立ち上がるような音が聞こえた。

彼の声に緊張が混じり出す。


「今どこだ」

しかし、それに答えようとした時だった。


『えっと、杯戸駅の、…っ?!』


多分、一瞬でも気を抜いたのがいけなかった。

周りに誰もいないところなんて歩くべきじゃなかった。

気づいた時には背後ギリギリに誰かが立っていて、首筋に電流が走った。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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