【有閑倶楽部】 (ページ2)

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『ねえ、みろくん』

放課後、生徒会室でギターの練習をしていると

今まで可憐と話していたAが俺の隣に来て

イスに座った。

魅録｢ん？どうした？｣

『ラブレターってもらったことある？』

魅録｢え……なんで？｣

『可憐ちゃんがね

今日、ラブレター30枚も貰ったんだって。

そういえば私、貰ったことないなーって』

その言葉を聞いた途端

俺は美童とダンスの練習をしていた可憐を睨みつけた。

……可憐のヤツ、余計なこと言いやがって。

『みろくん？』

魅録｢あっ、いや……俺もないかな｣

受け取ってください、って渡されたことはあるけど

全部断ってるし、靴箱に入ってたやつも返してるし。

魅録｢……Aも欲しいの？ラブレター｣

『うーん。欲しいというか……憧れ？

だって素敵じゃない』

魅録｢……そう、だな｣

Aの言葉に胸がチクリと痛む。

俺の鞄には今日回収した

A宛のラブレターが入っていて。

ちゃんと数えてないけど多分50枚はあった気がする。

魅録｢………………。｣

Aに変な虫がつかない様に中学生の時から

ずっとしてきたことだけど

もし、Aにこの事がバレたら

Aはきっと悲しい顔をするだろう。

可憐｢あ、野梨子。

今日ラブレター、何枚貰った？｣

野梨子｢捨ててしまいましたけど……

確か40通程かと｣

可憐｢もぉー！また負けた！｣

『40枚って……すごいね野梨子ちゃん』

野梨子｢Aには適いませんけどね｣

『え？』

野梨子｢あ、いえ。

……私は、大勢の方にモテるより

たった一人、自分のことを本気で愛してくれる人が

いることの方が大切だと思いますよ｣

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