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暗闇の中に見える廉くんの姿は
私に背を向けている。
今日はおやすみのキスもしてくれなかった…。
｢れ、廉くん…？｣
｢ん…？｣
モゾモゾと音を立てながら私は廉くんに近づいた。
｢今日は…おやすみのキスしないの？｣
いつも廉くんからしてくれるのに…。
習慣のようになってしまったそれがなくて
何だか寂しい気持ちになる。
｢……今日はせんよ｣
｢どうして…？｣
｢〜っ、Aもうちょっと離れて｣
廉くんがいつまでも背を向けて
こちらを見てくれないのが寂しくて背中に抱きつくと
ビクッと身体を震わせてそんなことを言う廉くん。
拒絶されたみたいで悲しくて
なんだか泣きたくなった。
｢…A、分かって。頼むから｣
｢……え？｣
ようやくこちらを向いてくれた廉くんが
私の顔を見ながらそう言った。
廉くんの切羽詰まったような表情に
私は首を傾げる。
｢…俺も我慢してんの。
やからもうちょっと離れてくれ、な？｣
我慢…？
それって…
��あたしならその日にでも喰っちゃうわね。
よく我慢した方なんじゃないの？��
……っ、
｢廉くんは、我慢してるの…？｣
ジーっと焦ったような廉くんの瞳を見つめた。
私の言葉に瞳が揺れる。
｢…っ、当たり前やろっ…｣
そして次の瞬間、私は廉くんに押し倒された。
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2020年8月14日 21時
