嫌いでいい ページ19
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秀一side
『A、もう着いたから大丈夫だよ』
｢‥‥ん｣
みんなのいるスタート地点に着いたのはいいものの、未だに怖がっているAはずっと俺の腕にしがみついたままだ。
まぁ、無理もないか。
あとちょっとでスタート地点だというところで、もう一度幽霊の格好をした駒井が現れて脅かしてきたんだから。
あとは戻るだけだから大丈夫だろうと油断してたAは、それに驚いて戻る間もずっと肩を震わせていた。
ここまで来るとさすがに可哀想だな‥‥。
｢‥‥秀くん｣
『ん？』
｢ギューして？｣
‥‥っ、ヤバい可愛すぎ。
『‥‥いいよ』
俺のハグでAの恐怖が少しでも取り除けるのなら、と思い周りからの視線を感じながらも俺はAを優しく抱きしめた。
『もう大丈夫だから』
小さな子をあやす様にAの頭を一定のリズムで優しくポンポンしながら声をかける。
そしてしばらくすれば、収まってきたAの肩の震え。
よし、あとちょっとかなと思ったその時だった。
結衣 ｢あ、Aー！｣
たった今ここへ戻ってきたであろう川崎と東条のペアが駆け足で俺らの元へとやってきたのだ。
そして、東条の隣にはなぜか駒井の姿も。
東条 ｢‥‥あぁ、お化け役の交代が終わったみたいでさっきたまたま会ったんだよ｣
俺の視線をさっした東条が説明してくれた。
あぁ、なるほどな。
結衣 ｢てかA大丈夫？ちょっと震えてるけど｣
｢‥‥うん｣
東条 ｢まぁ、急に現れたりしたらビビるよな｣
川崎 ｢ほんとほんと、Aを怖がらせるなんて許せない｣
そう言って幽霊役だった駒井を睨みつける川崎。
脅かすのが幽霊役の仕事なんだけど、Aを溺愛している川崎にとってはそれは関係ないみたいだ。
｢‥‥駒井くんがお化けだったの？｣
そして駒井が幽霊役だと知らなかったAは驚いた様子。
『そうだよ、Aを怖がらせたのは駒井だよ』
駒井 ｢ちょっ！それは語弊があるって！Aちゃん違うからね！！｣
よほどAに嫌われなくないのか、大慌ての駒井。
｢‥‥駒井くん、嫌い｣
だけど、そんな願いも虚しくバッサリと切り捨てられてしまった。
駒井 ｢‥‥え｣
まぁ、駒井には悪いけど俺にとってはそっちの方が都合がいいから。
『そう、嫌いでいいの』
だって、Aが好きな男は俺だけでいいでしょ？
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作者名：なっちゃん
| 作成日時：2019年7月5日 21時
