07 ベリル ページ8
「好きです、付き合って下さい」
『………はい?』
誰もいない深夜の本庁の廊下。
書類を抱えた私は、その言葉を聞いて笑顔のままで固まった。
…………えーーーーっと。
OK落ち着け。想定外の事態が起こった時ほど冷静に。とりあえず状況を整理しよう。
目の前にいるのは同じ部署で隣の席の南くん。
本当は公安としては彼の方が先輩だけど、「俺の方が年下なんですから敬語なんか使わなくて大丈夫ですよ」と気さくに声をかけてくれたとっても良い子だ。
身長は低くて顔も可愛くてよく周りからいじられているけど、仕事はできるし中身は男前というどこの少女マンガから飛び出してきたのかと言いたくなるようなイケメンくんである。
そんな美青年が…え、今のはひょっとしなくても告白?
右見て左見て誰もいない。どう考えても私に言っている。
資料室でたまたま会って並んで帰っている途中に突然のこれだ。
いくらなんでもいきなりすぎるし未だに現実を飲み込めない。
「意外とすぐに見つかるかもよ?Aの王子様」というつい先日の由美の言葉が脳裏をチラついた。
「七瀬さんの仕事にまっすぐなところとか見てたら、気づいたら好きになってて…」
『え、えっと…』
緩く笑ってそんなことを言ってくれる南くん。
対する私は何故か1歩後ずさった。
いやいやいやなに躊躇ってるの私。彼は私にはもったいないくらいの良い子だ。どもってないで早く返事しなよ…!
新しい恋を始めてみたら?という美和子からのアドバイスを何度も頭の中で繰り返す。
そんな中で同時によぎるのは元カレの顔。
脳内で正拳突きを食らわせた。
お前は!!いま!!出てくるな!!!
でも、どうなんだろう。こんな気持ちのまま付き合うなんて相手に失礼なのではないだろうか。
悔しいことにあの人の影はずっと私の中に残り続けている。
正直今のまま南くんと付き合って真正面から向き合える気がしない。
そんな器用な真似ができるなら今まで苦労はしなかった。
結果、グルグルと色んな考えが頭の中を巡ってなにも返せずに固まる。
すると、南くんは私の顔を覗き込み、こんなことを言い出したのだ。
「元カレのことが忘れられない、ですか?」
『……え?』
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜!ほんとですね!ありがとうございます!!直しておきました!! (2019年1月22日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます!可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです!! (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ3回も!?ありがとうございます…!!ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです!!更新頑張ります!! (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年12月24日 21時