26 シーブルーカルセドニー ページ27
▽シーブルーカルセドニー〈追憶〉
あれは確か、俺がまだ高３の頃だった。
要するに…えーと…もう12年も前になる。
彼女とは、すっかり桜も散ってしまった春の夜に出会った。
正直不審者なんかの思考はわかりたくもないが、何故かこの世は暖かくなると同時に変な奴らも湧き出す。
その日もHRで担任がしていた｢最近この辺りで不審者が出ている｣という連絡を適当に聞き流していた。
だって、まさか図書館で勉強した帰りに夜道で出くわすだなんて思わないだろう。
『ちょっと…っ離してってば！！』
そんな声が聞こえて細い道を覗いた時、見えた光景に目を見開いた。
そこにはうちの学校の制服を着た女子と、その子の腕を掴んでいる中年の男性。
女子は引きずられそうになっているのを必死で抵抗している。
足は無意識のうちに動いた。
どう見たって女子の方は嫌がってる。助けないと。その考えがよぎった時にはもう駆け出していた。
しかし、俺が男を掴もうとした直前だった。
『離せって言ってるのが聞こえないのかこのクソジジイがぁぁぁ！！！！！』
｢へ｣
ドゴォン！！と凄まじい音が背後で鳴った。
目の前にいたはずの男は一瞬にして消えた。
否、俺の後ろの電信柱まで吹っ飛ばされた。
女の子の方は完璧な空手の構えで男を睨んでいる。
それを見てようやくこの子が彼に回し蹴りを食らわしたのであろうことを理解した。
う、うそだろ…女子が蹴り一発で男を気絶させたぞ…
しかもリボンの色は赤色。１年だ。
男に意識を向けすぎているのか、彼女はまだ俺に気づいていそうにない。
もう意識はないからそこまで警戒しなくても大丈夫だろう。
俺はとりあえず声をかけようと、彼女の肩に手を置いた。
｢おい…｣
その瞬間、彼女はバッと勢いよく振り返る。
街灯に照らされて彼女の顔がようやくはっきり見えた。
気の強そうな瞳と、真面目そうに結ばれた長い髪。
あ、かわいい。
しかし、そんな場違いなことを思った次の瞬間だった。
『まだ仲間がいたのね！？くたばれゲス野郎！！！』
｢…え？うわ！？｣
いきなり彼女の正拳突きが顔目がけて飛んできた。
反射的に避けて混乱する頭を上げる。
まさか俺も不審者だと思われてるのか…！？
弁解しようと手を前に出す。
けれど今度はその手を掴まれ、勢いよく引き寄せられた。
気づいた時には世界がひっくり返っていた。
…こいつ柔道も出来んのかよ…！！
これが俺とAの出会いだった。
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立夏(プロフ) - 明里香さん» わ〜！ほんとですね！ありがとうございます！！直しておきました！！ (2019年1月22日 0時) (
レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「聞こえ気がした」ではなく、「聞こえた気がした」です。 (2019年1月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - でねぼらさん» ありがとうございます！可愛く書けたらなと思っていたので嬉しいです！！ (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
でねぼら(プロフ) - 夢主可愛い降谷可愛い (2019年1月7日 0時) (レス) id: eac5f4ad2f (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - レッド・アイさん» わぁぁ３回も！？ありがとうございます…！！ほんと元カップルっていう距離感の微妙な関係が大好きで…ストライク決められて嬉しいです！！更新頑張ります！！ (2019年1月6日 12時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年12月24日 21時
