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lesson 34 ページ35

その質問に、私はいよいよ固まってしまった。


私が零ちゃんを好きかって、そんな質問今までいくらでもされてきた。

笑って大好きだよ、なんて答えればみんな「そうじゃなくて…」とか言いながら引いてくれた。

だけど今は、そんなこと言う気にはなれない。

頭がグラグラして、視界が揺れる。



「ぶっちゃけ言って、今の立花さんのその態度が気に食わないのよね」


彼女の一言一言を零さないように頭に叩きつける。

聞かないとダメだ。甘えるな。

ひーちゃんにも逃げるなって言われたでしょう。



「わかんない知らないって目を瞑って、ずっと気づいてない振りしてあの人の隣でいようとしてる。
本当ずるいと思うよ」

『そんな…っ!』

「いつまでも関係性が変わらないように子供のまま止まってるみたいだわ」


グッと奥歯を噛んだ。

手が震える。全部全部、気づきたくない。耳を塞ぎたい。

彼女はそんな私を見下ろしながら続ける。



「好きじゃないなら、そういうことしてるのどうかと思うよ」

『……』

「立花さんがそんなんだから、降谷くんも彼女作らないんじゃない?」

『え…?』


どういうこと、と返す前に、彼女は机から立ち上がった。

話はこれで終わり、と言いたげに私から視線を外す。


「手紙は好きにしていーよ」


その言葉と共に、ふわりとローズの香りが舞った。

私の横を通り過ぎる彼女に何も言えず俯く。

教室のドアが開いて閉じられた音を聞き、やっと息をついた。


どうしろっていうんだ。

思えば、恋人でもないただの幼馴染なのにキスなんてしてる関係はおかしかったのだ。

もう零ちゃんとは1週間も話してない。

こんなことになるなら気づかなければよかった……ってこういう考え方がダメなのか…



「さっきの、隣クラスの美少女じゃん。どしたの?」

「なんか修羅場っぽかったけど」


気づけば目の前にはなっちゃんとちーちゃん。

脱力して頬を机に引っつける。



『…怒られた』

「なに?なんかしたの?」

『うん…逃げてばっかでふらふらしてるから』


「はぁ?」と眉を寄せたなっちゃんとは反対に、ちーちゃんは察したのか「ふぅん」と頷いた。


「で、どうする?話聞こうか?」

『…自分で考える』

「…そう。なら頑張りなよ、A」


ポン、と頭に手を乗せられる。

ひんやりした机に自分の体温が伝わるのを感じながら、うん、と小さく頷いた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ふゆーれい(プロフ) - に、ニヤニヤが全くとまりませんでした…。あと隣の子から預かってた手紙を零に渡す所が何か辛かった()面白かったです!今更ですが、完結おめでとうございます! (2022年7月25日 22時) (レス) @page42 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
はろーきてぃ様。 - めっちゃ面白かったです!!さいこおお!がんばれえええ! (2022年5月27日 23時) (レス) @page42 id: 278a10c8d3 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 告白しようとした美少女の性格が好きすぎる…めっちゃカッコいいから振られたとしても堂々としてそうだなぁ (2021年4月17日 13時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
mami - 完結お疲れ様です!凄く面白かったです! (2019年8月5日 5時) (レス) id: 3ba7cafabb (このIDを非表示/違反報告)
盛りそば。 - なにこれ……萌しかないじゃないですか…尊死(( (2019年7月21日 15時) (レス) id: 2b295a992e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月15日 21時

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