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23.薄紅色 ページ25

『こ、怖かった………』


エンドロールも終わりもう誰もいなくなった中でAがそう言った。

初めのうちはなかなか耐えてたのだ。

肩が揺れたりはしてたものの、声を上げるまではいってなかった。

予想以上に頑張りはしていた。


しかし半分過ぎたあたりで『ぎゃ!』と横から聞こえてきた。

その時点で賭けは終了。それ以降は全く耐えてなかった。

まぁ…確かに結構怖かったな、この映画。


ちなみに先程の老夫婦は満足気な笑顔のまま帰っていった。

お年寄りは強い。



『もう今日寝れないです〜〜目瞑ったらピエロがこっち見てる〜〜』

「はいはい、ほらもう帰るぞ」

『ご、ごめんなさいちょっとさっきから足が立たなくて』


嘘だろお前。そこまでかよ。

まさか腰抜かすほどびびるとは。

思わずため息が漏れた。



「自力で歩くのと姫抱っこされるのどっちがいい?」

『うわ鬼ですか!?もー!歩きますよう!』


膝が笑ったままなんとか立とうとするAの手首を掴んで引っ張る。

このままここにいたら迷惑だからとりあえずスクリーンの外までは出なければ。



「おい大丈夫か?無理なら本当に背負うくらい…」

『い、いけます大丈夫です問題ありません』

「…あ、そ」


そんなに俺に運ばれるのは嫌かよ。

立てもしないくせにここまで全力で否定されるとなんとなく癪に障る。

こんなことでムキになるなんて自分でもガキかよと思ったが、相手は精神年齢中学生なAだし別にいいだろう。

俺は目の前で奮闘している小さな体を軽々と抱き上げた。



『うわ!?』


いきなり姫抱きされてAの顔に火がつく。

それを見ない振りをして階段を降りだした。


『ちょっと降谷さん!!』

「暴れんなよ。このままだと時間がかかりすぎるだろ」

『いやあの、せめておんぶに』

「しようとして拒否ったのお前だろうが」


Aはうっと言葉を詰まらせる。

ようやく大人しくなって抵抗をやめた。


『す、すみません…ありがとうございます…』

「…ん。」


抱えた体は心配になるくらい軽い。

間近になった顔をじっと見つめれば、面白いくらい慌てて目を逸らされた。


「……A」

『は、はい』


目を逸らしたまま返事をした彼女の赤くなった耳を眺めながら、俺は告げた。



「悲鳴上げたら罰ゲームって言ったよな」

『うわ、忘れてた……』

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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