53話 ページ10
迷わず拳銃を取り出した零は、もう正体を隠す気はないらしい。
当然か。相手は一般人じゃない。
「…やっぱりあなたも公安警察だったんですね、安室透さん」
机に頭を強くぶつけたらしい伊織くんは、壁にもたれたままそう言う。
「いくら調べてもなにも出てこないから偽名だろうとは思ってましたが」
「……この屋敷は既に公安に包囲されてる。諦めろ」
え、もう?
だって風見さんにメールを送ったのはついさっきだ。
いくらなんでも早すぎる。
ハッタリの可能性もあるので顔には出さなかったが、零が続けて私の疑問に答えた。
「お前がこの件の黒幕であることは電話の時に勘づいた。人を呼んでおいて正解だったようだな」
「……そうですか」
直後、ドタバタと階上から騒がしい足音が響く。
突入したのか…
公安ならあのおびただしいトラップたちに引っかかることもないだろう。
私はヒールの折れたパンプスを脱ぎ捨てて、零がもう一丁持っていた拳銃を彼のホルスターから抜き取った。
そして大切な幼馴染に。
いや、大切だった幼馴染に。
罪人に。
躊躇せず拳銃を向けた。
『チェックメイトよ、伊織くん』
私は公安警察。
彼は罪人。
言うべき言葉はわかってる。
いつもの通りだ。
『公安よ。動かないで』
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時