後日談6 ページ32
「お前、俺のいないところじゃ随分素直なんだな」
『あんの猫被りチビメガネがぁあ!!!今度会ったらタダじゃ置かねえ!!』
「口悪いぞ」
コナンくんに対して怒りをぶつけながら、とりあえずこの体勢から抜け出そうと、掴まれた腕をグイグイ引っ張る。
びくともしない。公安のゴリラ相手に力勝負なんて無謀すぎた。
涼しい顔で笑ってる零がハイパームカつく。
『ちょっと!離して!こんの…っ!!』
「はいはい可愛い可愛い」
『もおぉぉぉぉ』
ぎゅーっと抱きしめられたらもう逃げられるわけもない。
じたばたもがいて抵抗しても無駄だ。
わかっていながらもしばらく逃げようとしていたが、やがて諦めて体の力を抜いた。
は、恥ずかしすぎる…
頬に熱が集まる。
普段ならあんなこと言うわけない。
でもあの時は、ちょっとメンタルが不安定になってて。
つい口走ってしまったのだ。録音機があることにも気づいてたのに。
『忘れて下さい…』
「無理だな」
ですよね。
反撃モードな零がそんな願いを聞くはずもない。
ぐっ…と奥歯を噛む。
しかし零は、そこに更にわけのわからないことを言い出した。
「ね、今ここでもう1回言って」
『……はい?』
こいつなんて言いやがった?
あれを?今?本人の前で?直接言えと?
正気か??
「そしたら沖矢の件は許してやるよ」
『うわ!汚いぞ!これが公安警察のやり方か!!?』
とんでもない取引を持ちかけてきやがった。
いやいやいやふざけるな。
今となってはなんであの時そんなこと言えたんだってくらい恥ずかしいんだぞ。
けれどここで無理だと断れば仕返しがエスカレートすることは目に見えていた。
零は早くーと言いながら私の下唇をふにふにいじる。
おいやめろ、変態かよ。
『………』
「A?」
急かすように名前を呼ばれ、私はついにぎゅっと目を瞑った。
仕方ない、覚悟を決めろ。
ちょっと照れくさいセリフを言うだけだ。
顔を背けて目を閉じて、顔が真っ赤なまま、私はゆっくりと口を開く。
『…………っせ、』
しかし次の瞬間だった。
ピリリリリ、と無機質な携帯の音が部屋に鳴り響いた。
この着信音は私のじゃない。
零の、というよりは…
『………』
「…………」
『………あの、携帯』
「………………」
『……バーボンさん?』
「チッッ」
こっわ。なに今の舌打ち。
完全に組織の一員の目してたぞ。
零はようやく私を膝から下ろし、電話を取った。
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時