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66話 ページ23

寄り道ってどこに?

そう聞けば、零はわたわたしながら「新しくできた観覧車でも行く?」と答えた。

というわけで、私たちは何年ぶりかわからない観覧車に2人で乗っていた。


流石、「日本一の夜景が見れる観覧車」と謳ってるだけあって、眼下に広がる東都は輝いていてとても綺麗だ。

観覧車は今まで避けていたけれど、やっぱり素敵だなぁ…

たまにはいいかもしれない。

なんて思いながら夜の東都を眺める。


けれど、私はさっきからこの夜景にあまり集中できていなかった。



『……れい』

「ん?」

『外、見ないの?』

「見てるよ」



零はそう答えるけど、彼の視線がずっと私の横顔に突き刺さってるのだ。

気恥ずかしくて、私は夜景に顔を向けたまま零の方を見ることができない。



なんか変だ。

なんでこんなに私のこと見てるんだ。

せっかく観覧車に乗ってるのに、これじゃ意味ないじゃない。

それになんとなく、視線がいつもと違うような…



我慢の限界だった。

こんなに視線を感じていたら、夜景なんて気にしてられなくて。

私はつい、恐る恐る零の方へ目を向けてしまった。



バチ、と目が合う。

その瞬間、『あ、やばい』と頭のどこかで思った。



目が、離せなくなったのだ。

一瞬にして世界から音が消える。

時間が止まったのかと思った。


アクアマリンみたいにキラキラした瞳に視線を絡め取られて逸らせない。

何故かはわからない。

それでもいつもと何かが違うその目があまりにも綺麗で、息が詰まる。


1拍置いて、急に顔が熱を帯びだした。

こんなことは初めてで頭が酷く混乱する。

わけがわからなくて、けれどそんな私を置いて、零は少しずつ私に近づいてきた。



『…れ、れい?』

「………キスしていい?」

『え』

「嫌なら避けて」



なにを冗談を、という言葉は喉に引っかかって音にならない。

零の目を見れば冗談じゃないことくらいわかる。


え、え、待って。

どういうこと。なんでキスなんか。

いきなりのことに思考が追いつかない。

大体嫌なら避けてなんて言われても…!


どうすればいいのか、回らない頭で考えてもこんな短時間で答えは出るはずなくて。

いや、元より避けるなんて選択肢はきっと私の中にはなかったのだ。

容赦なく迫ってくる零に、私はもう覚悟を決めるしかなかった。


ギュッと目を瞑る。


静かに零の唇が触れた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時

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