48話 ▽スカーレットの挨拶 ページ5
Aside
本庁の廊下を資料を持って走っていたら、どこかで見た覚えのある黒いニット帽が目に入った。
…あれ?誰だっけあの帽子。
確実に見たことのある後姿。彼はこちらに気づいて振り返る。
そしてその顔を見た瞬間、私はビタッと立ち止まった。
『うげっ青井!』
「赤井だ。久しぶりだなわんこ」
FBIの赤井秀一。降谷さんの敵すなわち私の敵。
きつく睨み上げながらジリジリと距離を取る。
降谷さんの敵ってことを抜きにしてもちょっと苦手なのだ。この前首根っこ掴まれたの忘れてないんだからね!
『なんでこんなとこにいるんですか?』
「公安がシャトーとポーラーのことについてなかなか情報を開示しないから直接聞きにきたのさ」
その言葉にギクリと体が固まった。
それって思いっきり私のことじゃないか。
赤井秀一は軽く笑って続ける。
「まさかわんこがシャトーだったとはな」
『あれ、なんだもう知ってたんですか』
身構えて損した。
ってことは降谷さんにはもう会ったのだろうか。
そういえばさっきどこかに出かけてたな。行き先聞いてなかったけど…って別に降谷さんなんかどうでもいいけど!
一瞬よぎった思考を振り切って赤井秀一に小さく頭を下げる。
『その節はご迷惑おかけしました、シルバーブレッドさん』
「その名を知ってるということは初めて会った時にはもう顔は割れていたのか」
『あー…まぁ、はい、そうですね』
…いや、確かに知らされてはいたし顔写真を見たこともあったけどぶっちゃけ忘れてた。
記憶力は悪いほうなのだ。赤井という名が結びついてようやく思い出したレベルだ。
赤井秀一は壁にもたれ、すっかり長話モード。
別にこの資料も急かされてるわけじゃないし少しくらいはいいか、と私も壁際に寄る。
しかし続けられた言葉に思わずその選択を後悔した。
「しかしまさか本当に君が降谷くんの恋人になるとはな」
『ゔっ』
い、今そういう話はしたくないのに…
思いっきり顔を顰めてしまう。
それに気づかない赤井秀一ではない。彼は私の顔をまじまじと見つめて尋ねてきた。
「なんだ、やっぱり喧嘩でもしたのか?」
『え、やっぱり?』
「今日の降谷くんは異様に大人しかったからなにかあったのかと。
情報も渋らずに話したし、事の顛末を話す時も君の話になったらえらくなにか考え込んでたからな」
『……降谷さん、元気なかったんですか?』
あ。しまった、つい聞き返してしまった。
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かちかち太郎丸 - すきーーーーーー!!!!一気見させていただきました!!!!超絶大大大大好きです!!!ハッピーエンド最高すぎます、、、!素敵な作品ありがとうございます! (11月22日 22時) (レス) @page25 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
みょん - 、、、天才がここにいる、、、終わりかたがすごい好きです!結婚後の話とか、映画の話とか書いてくれませんか、、、? (2022年6月17日 16時) (レス) @page25 id: 932e0b63ac (このIDを非表示/違反報告)
じゃむ - 間違いなく天才。だいすきです。あなたの夢小説に出会えて幸せ。 (2022年6月12日 22時) (レス) @page25 id: efa5817db4 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 映画見てなかったらごめんなさい!!!!! (2022年4月24日 23時) (レス) id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 今日一気見したら、今年の映画っぽくてすご!って思いました!犬飼ちゃん降谷さん大好きです!!! (2022年4月24日 23時) (レス) @page15 id: 9795adedef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月1日 22時