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「もしもし安室さん!データの復元終わったよ!」
通話ボタンを押した瞬間に飛んできたコナンくんの声。
どうやら破壊されていたAのパソコンの履歴を戻せたらしい。
携帯電話を持ち直して返事をした。
「ありがとう、どうだった?」
「やっぱり最後の画面は組織についてだったよ。組織の抹消者リスト」
「抹消者リスト…」
それを聞いて顎に手を当てる。
あらかじめ考えていた1つの可能性を引きずり出した。
「コナンくん、その中に桜小路って名前の男女はいないかい?」
「えっと…ちょっと待ってね」
少しの間が空き、彼はすぐに想定通りの答えを返してくれた。
「あるよ!12年前に2人!これってもしかして…」
「…ああ、恐らくAの両親だ」
やっぱりな。
組織に攫われたか、Aの親を殺した奴らに攫われたか。
その両方だったわけだ。彼女の両親を殺害したのは組織だ。
そして今回なんらかの意図があってAを拉致った。
「安室さん、Aお姉さんがどこにいるか探れそう?」
「あぁ、実は目星はついてる。さっきベルモットに発信機を仕込んだから見張ってるんだ」
「え!?もうそこまでしてるの!?」
「早く見つけないと手遅れになる可能性がある」
思い当たる場所は全部回ろう。
誰もいなかった組織の拠点を仰ぎ見て、RX-7に乗り込んだ。
*
Aside
とりあえずなにか動こう、と決心するまでそんなに時間はかからなかった。
降谷さんは来てくれる。それは信じてる。守るって言ってくれたんだ、きっと今も探してくれてる。
でも、ただ待つだけは嫌だと思った。守られてばかりなのが嫌で協力者になったのは私だ。
自分から状況を変えようと思った。
それに、外が見えない上に監視された独房というものは想像以上に人の心を蝕む。
ただの女子高生の私の精神力でそう長く堪えられるとも思わなかった。
『あの…』
水を渡しに来た男に声をかける。
ベルモットと話したいと言えば、彼は少し迷ってから携帯を取り出し、一言二言電話の向こうに話してから私に手渡した。
「なぁに?言う気になった?」
借りた電話からそんな声が聞こえる。
私は壁にもたれかかって答えた。
『いえ。ただ頼みたいことがあって』
「へぇ?」
『持ってきてもらいたい物があるんです』
彼女は間を置いてから「言ってみなさい」と答える。
小さく息を吸って、紡いだ。
『両親の遺品が見たいんです。なにか思い出すかもしれないので』
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羽(プロフ) - とっっても良い話でした!!最後にお話を更新されてからかなり時間が経っているのでもうログインされていないかもしれませんが、どうしても伝えたくてコメントさせていただきました…!素敵なお話を書いていただきありがとうございました! (7月8日 22時) (レス) @page38 id: 9862219e48 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 2周目です!!本当にいい話、、大好きです。書いてくださり、本当ありがとうございました。 (2022年2月4日 23時) (レス) id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
m - 立夏さんのお話、内容がししっかりしてて面白くて…他にも作品書いてるのかなって思ったら過去に読んだ事ある作品ばかりですごい驚きました!全部すごい好きな作品だったので…Twitterのフォロー失礼致します! (2021年8月31日 12時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
りー - 叔母様いい人や!姉さんの事好きだったんやな(´;ω;`) (2021年8月22日 22時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 推しが尊いマンさん» わ〜!ありがとうございます!後半すごく悩みながら書いていたので本当に嬉しいです!最後までお付き合い頂きありがとうございました!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2019年4月5日 20時