after:ハニートラップもお手の物 ページ7
工藤邸には結構な回数訪れたことがある。
沖矢昴が住んでいた時期もそうだが、組織が壊滅してからも何度か呼ばれたり、新一くんとおしゃべりしたくなって私が押しかけたり。割と気軽にお邪魔していたのだ。
今日は後者だった。でもおしゃべりしたくなった…ってのはちょっと違う。
お高そうなふかふかのソファに腰を下ろし、私は大真面目な顔で新一くんに言った。
『零さんと喧嘩して家出してきた』
「帰って下さい」
『酷すぎじゃない?』
めちゃくちゃ嫌そうな顔で言われてしまった。しかも即答。驚きの速さ。
嘘だろおい、薄情すぎやしないか工藤青年。
私が今までどれだけ君に…いや特になにもしてないな。うんごめんね。でもそれとこれとは別っていうか。
新一くんは大きくため息をつき、仕方ないと言いたげに私の前に座った。
『もう!ほんとなんなのあのゴリラ!寝てる間にフルメイクして写メ拡散してやろうかな!?』
「それは流石に可哀想。…で、今回はなにが原因ですか?」
『零さんが猫より犬の方が可愛いとか言うから』
「帰って下さい」
『わぁ2度目』
2回も言われちゃったよ高校生に。
しかも今回は玄関を指さされた。もう何回も来てるんだから玄関の場所くらい知ってるってば。
彼はまたため息をつき、呆れたような半目で私の方を見る。
そういうとこコナンくんの時と変わってないよね、その目こわーい。
「目の端、赤くなってますよ。その程度の喧嘩でそんなふうになるわけないでしょう」
『…なんだバレてたの』
「そんなに話したくない内容なんですか?」
『別にそういうわけじゃないけど…
いや待て、キミ乙女の目の端が赤いと気づいておきながら帰れとか言ってたの?』
なかなかにクールですね工藤青年。いつか女の子を泣かせそう。
なんて茶化したものの、新一くんの鋭い視線は変わらない。真正面からぶっ刺さる。
うわー、これ言わないといけないパターンじゃん。
知ってる知ってる。この視線何度も受けたことあるからね。下手な尋問より強いよこれ。
すーっと彼から目を逸らす。
しかしそんなことをしたところで逃げ切れるはずもなく、私はしばらくしてから耐えきれずにそろりと口を開いた。
『…禁止されてるハニトラを仕掛けたの』
「帰って下さい」
『待って今のはおかしい』
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時