after:あなたにふさわしい私 ページ22
12月も間近となれば、夜は結構な冷え込みになるわけでして。
びゅうっと冷たい風がドロップイヤリングを揺らし、さむ…っと独り言を零した。
あー寒い寒い。早く帰ろ。今日は零さん帰ってこないって言ってたし、お風呂であったまってさっさと寝よ。
なんて思いながらイルミネーションで彩られた道を歩く。
やっぱり綺麗だなぁ。冬の夜は寒いけど、これのおかげで歩くのが楽しい。
この道は毎年イルミネーションに力を入れていて、見渡す限りカップルだらけ。いや別に寂しくなんかないですからね。いっぱい冬服買って満足してるんですよ私は。
大きな買い物袋を引っさげて駅までの道を進む。
と、そんな時、電光に照らされた見覚えのある金髪が目に入った。
『…あれ?』
少し離れたところにイルミネーションより輝いてるイケメンがいる。
…あれはひょっとしなくても旦那様では?
なんでこんなところにいるんだろ、と歩み寄ろうとして、その足を止めた。
彼の横には全くもって見たこともない女性。
あぁ、なるほど。とすぐに理解した。
お仕事中でしたか。そりゃ邪魔しちゃダメですわ。見なかった振りをして帰りましょう。
ハニトラ相手であろう女性はかんっぜんに彼に惚れている目をしている。はは、相変わらずハニトラさせたら百発百中だなあの人は。
そう思いながら踵を返そうとする。
しかし次の瞬間、目に飛び込んできた光景にギクリと体が固まった。
彼が女性の手を取る。
そしてポケットから取り出されたのは、青い石のついた指輪。
女性が頬を紅潮させて、目を真ん丸にしたのが見えた。
心臓が変な音を立てた。
ダメだ。
これは見ちゃダメだ。見るな。目を逸らせ。
早く、ねぇ、なんで見てるの、動いてよ。
そう思うのに足は地面に縫い付けられたまま動いてくれない。
キラキラしたイルミネーションに照らされた情景から、どう見たってプロポーズしているそれから、目が離せない。
彼女の薬指に指輪が通される。
刹那、彼の瞳が一瞬だけこっちを見た。
本当に一瞬だけだったけど、確実に目が合った。
その瞬間、私は弾かれたようにその場から駆け出した。
バカ…!なんでこんな逃げるような真似してるの!!
普通に、なんでもなかったように素通りすればよかったのに…!
彼は絶対に追ってはこない。
プロポーズなんてしてる最中に他の女を追いかけたら作戦は失敗する。
それはわかっていたけれど、アスファルトの道をヒールで駆け抜けた。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時