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小さく息をついた。


『…ほんとに優しいですよね、零さんって』

「はは、いつもは面倒くさいって言いまくるくせに」


彼はそう言って、ハンドルを握ったまま息をついた。もうすっかりいつも通りだ。


「あーくそ、運転中に話すんじゃなかった。今めちゃくちゃ抱きしめたい」

『よかったですね、ちょうど赤信号ですよ』

「は?」


タイミングよく信号機が赤く光って車が止まる。

その瞬間、私は彼のネクタイを掴んで引き寄せた。

大きく見開かれた青い瞳を見て目を瞑る。

そして彼の唇にキスをした。

好きでもない男に色仕掛けをしてするキスなんて嫌じゃないわけない。本当は昨日からずっとこうしたかったのだ。

触れるだけ。ほんの数秒だけで離れる。

握ったままだった彼のネクタイを離す。

それでも呆気に取られたままな彼に、軽く笑って伝えた。


『…信号、青ですけど』

「おま……っ!くそ!!まじでそういうとこだぞ!!!あとで覚えてろよ!!!」

『めっちゃ顔赤いですよ、相変わらず不意打ちに弱いですね』

「黙ってろ!!家までぶっ飛ばしてやる!!」

『は!?ちょ、やめてやめて普通に帰って!!ここでカーチェイスしなくていいですって!!!』


このゴリラ短気すぎじゃない!?

法定速度を守りながらも夜道を飛ばしだした車に思わずシートベルトを握る。

窓を開ければ冷たい風が頬を撫でて、何故だか少し笑ってしまった。


こうして私のよくわからない短い初家出は終わったのであった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時

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