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『…で、とりあえずうちの最寄まで来ましたけど…これからどうします?』
駅の改札口を抜け、隣を歩く降谷さんにそう切り出しした。
ストーカーさんには自宅はバレてなくても駅はバレてる。あとは職場も。
今もどっかで見てるかもなぁ、と思いながら彼を見上げた。
「今夜は家まで送る。恋人の振りでもしとけば出てくるかもしれないしな」
『ですね。ありがとうございます』
頷いて、差し出された手に自分のものを重ねる。
いや別にこれくらいで照れはしないからね。任務中でもよくしたし…って指まで絡めるのかよまじかこの人。
『降谷さんってやっぱこういうの慣れてますよね』
「は?どういうのだよ」
『なんでもないです』
言いながら一瞬だけ後ろに視線をやった。
降谷さんも恐らく気づいてるだろう。今夜もつけられてる。
いきなり彼氏と思しき奴が登場したからだろうか。恨めしそうな視線が背後に突き刺さる。
それにあたかも気づいていないように談笑しながら、人気のいない所まで歩いてきた。
小さく息をつく。そして、ニッコリと笑って降谷さんの前に立った。
『今日はありがとうございました!ここで大丈夫です!』
青の瞳がわずかに鋭く光る。
私の意図は十中八九伝わっている。
ふっ、と微笑んだ彼は私の頬に手を添えた。
え、めっちゃノッてくるじゃんなにこの人そこまでするの。
だんだん近づいてくる綺麗すぎる顔に動揺を抑え、見つめ返す振りをして彼の背後に目をやる。
触れそうなくらい近い唇を微かに動かした。
『──左斜め後方、恐らく右ストレート』
「カウントダウン」
『残り5秒』
息を吸って、彼だけに聞こえる声で数える。
4、3、2、1───
0は口にはしなかった。
その瞬間、降谷さんが後ろから殴りかかってきた男の手を掴み、彼の腹を思いっきり蹴り上げた。
思わずうわっと声を漏らした。
それくらい容赦がなかった。鬼かこの人。
あっけなく気を失った男はアスファルトの地面に叩きつけられる。
それをこれまた容赦なく縛り上げる降谷さん。なんかめっちゃ怒ってない?
「はっ、俺のAをつけ回して無事で済むと思うなよ」
『はい?誰のですって?』
なんか今ものすごい言葉が聞こえた気がするが。
流石に流せず聞き返した私を無視し、彼は風見さんに電話をかける。おう…風見さん申し訳ねえ…
なにはともあれ本当に頼りになる協力相手である。
やっぱり今度焼肉奢ろ、と思いながら彼にお礼を言った。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時