before:猫被りにご用心 ページ30
※夢主協力者時代。原作開始前。
「はぁ?ストーカー?」
目の前に座る降谷さんは、そう言って生肉をトングで掴みながら思いっきり眉を寄せる。
私はレモンをつけたタンを頬張りながら、彼の言葉に頷いた。
『はい、ちょっと前からされてたんですけど、そろそろ視線がやばそうな感じに変わってきまして』
「…ちょっと前からされてた?」
『ええ、特になにも接触してこなかったんでほっといてたんですよ。毎回家に着くまでには撒いてたから自宅もバレてなかったし』
私がそう言えば、彼は更に眉間にシワを寄せる。ベビーフェイスが台無しだ。全国のファンが泣くぞ。
「アホか、なんでもっと早く言わないんだよ」
『え?ストーカーって上司に報告義務あるんですか?』
「お前ほんっと可愛くないな」
『またまた、可愛いと思ってるくせに』
「顔だけな」
『お前もな』
「あ?」
『失礼しましたぁ』
そんなに怒ることないだろうに。
大体ストーカーなんて今回初めてされたわけでもない。一般人の尾行を撒くこともできないような元公安ではない。
『大抵のやつはしばらく撒き続ければ諦めてくれるんですけどねぇ。今回の奴はえらくしつこくて』
「そんなにしょっちゅうされるのか?」
『しょっちゅうってわけじゃないですけど、それなりの頻度で?』
「聞いてないぞ」
『は?いやまぁそりゃ言ってませんから』
だからそんな責めるような目されても困るってば。
降谷さんは一つため息を零し、ハラミを皿に移しながら言う。
「で、そいつを俺にどうにかしてほしいと?」
『話が早くて助かります。お代は今日の焼肉代ってことで』
「まじで?すみません黒毛和牛上カルビくださーい」
『最悪かこの野郎』
奢りと知った途端ここぞとばかりに1番高いやつ頼みやがって。
じとっと睨んでも彼は涼しい顔でロースを食べていらっしゃる。転職してからお財布が結構厳しいんだぞ。
そう思っていれば、彼は水を一口飲み、口を開いた。
「お代は結構だ」
『え?』
「そのかわり、今後こういうことがあったらすぐに言うように」
顔を上げて私の目を見た彼は、想像以上に真剣な顔をなさっている。
「なにかあってからじゃ遅いんだからな」
本気で自分の身を案じてくれている彼の表情にドキリと心臓が鳴った。
まっすぐすぎるアイスブルーの瞳からそっと目を逸らし、小さな声で『ハイ』と頷いた。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時