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わがままな自分に呆れ返っていると、なぜか慧が振り返って俺の所まで戻ってきた。
「………手が冷たい気がしたから。」
ついさっきまで手首を掴んでいた俺の指を、両手の指できゅっと握って、
「昼間のお返し。それだけ。」
俯く。


自分の方が指、冷たいくせに。
俺の手にただ、触れたかったんだな。


愛おしくて切なくて、
「…慧、今日はもう一緒に帰ろう。」
指をちゃんと繋ぎ直して歩き出す。
慧は反対しなかった。



並んでゆっくり歩きながら、
「俺、慧が大好きだよ。なんて、こうやってぐいぐい好きだって言うのが困らせるんだよね。でもさ、俺にはこれしかないから。ごめんね、こんなに大好きで。……本当に、好きだよ。」
暗くなってきた空を見上げて言うと、うん、と小さく慧が答えてくれる。



どうしていいか分からない。
でもお互い好きだと、それだけは痛いくらいに分かった。

すみません、しばらく更新停止します。→←N (1)



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作者名:すみれ | 作成日時:2023年12月28日 1時

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