輩先生と純情びっち【鬼滅の刃】

（48）校内放送 ページ49

生徒などほとんど残っていない休業期間中の昼過ぎに鳴ることなど滅多にない校内放送の声がスピーカーから響いた。






「3年蓬組 綾瀬 今すぐ美術準備室に来い」






そんな雑な呼び出しある？！と思いつつ目の前に迫ってきていた男子がその顔を離してくれたことに安堵する。







「……ごめん、行くね」






その男子によって外され、床に落ちたネクタイをサッと拾い階段を駆け上がる。


あまりの突然の出来事だったから、まだ心臓がバクバクしてる。




乱れたブラウスを戻す余裕もなく逃げるように美術準備室に駆け込むと、わかっていたかのように宇髄先生が壁にもたれて立っていた。





走ってきた勢いのまま先生に飛びつく。


文字通り凄い勢いだけど先生筋肉質だから微動打にしない。恐ろし。







「……宇髄せんせ、」






先生はその大きな手を私の頭にぽんと載せる。

安心して涙が滲んできて咄嗟に目を瞑った。







「見てた」


「ありがとう、助けてくれて」







あの時の淫らな自分を見られてたと思うと恥ずかしくて目なんて合わせられない。


だから、先生のTシャツにしがみついて顔は伏せたまま。







「何されてんだお前はほんと」


「…ｯさすがの私でも、怖かった」






呆れたような、心配するような、そんな声をかけながら私の頭を撫で続ける。


その手つきと、Tシャツから香る先生の匂いで落ち着きを取り戻した。







「ごめん、もう大丈夫」







顔を上げ、赤くなった目を擦る。



先生は、私から手を離し代わりに乱れたブラウスのボタンをかけて戻してくれる。


しかもちゃんと私がいつも開けてる首元のボタンはかけずに。




そして最後に私の肩に軽く手を置いて、先生はいつもの椅子に座った。

その隣のデスクに、いつものように私も腰掛ける。



私がコーヒー飲みながら座ってる椅子はちょっとだけ遠いんだよね先生のところから。


今はちょっと、近くにいたい気分。







「抱かれたことあんの？あいつには」


「…1回だけ」


「なんであんなことされてたんだ？」


「また抱かせろって。

それは別にいいんだけど、この前別の人につけられた引っ掻き傷が治ってないから今は嫌なんだよね」






ああやって無理やりされるのって、トラウマあるからちょっと怖い。






「そしたらあんなことされた」






そう零すと先生は、「傷ってこれのことか」と言って私のブラウスの袖を捲った。







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