第四章家族の絆編【我妻善逸】 (ページ6)

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第一話　後編ページ6

「はぁ…はぁ……」

「いやあぁぁぁぁ!!」

私達は現在雪山に上っていた。思ったよりきつくて息を上げているが前にいる善いつが他の大志たちの腕を掴み泣きわめいている。ああ、情けない……私は善逸を相手にする余裕がなくて無言で上がろうとしたががしっと掴まれてしまった。

「俺が大変な時に黙々と進もうとしてんの!？イケメンすぎだろ!!」

「…一刻も早く鬼を倒さないとさらに被害が広がるでしょ？市民は私達が守らないと」

「俺の彼女がイケメンだァ!!」

私は善いつの肩を掴み真面目な顔で言うとそう突っ込まれてしまった。そう言われるのは照れくさいなとポリポリ頬を描くと私は善いつに一瞥し歩いて行った。暫くするとそこにぽつんと藤の花の家紋の家がありその奥に民たちが暮らしている。鬼が出たら山を下り襲ってくるかもしれないとぶるりと震えた。たんじろうたちもそうだったらしい……私は身を引き締めた。

冬の日照時間は短い。夕日が赤く照らしていた。ひとまず今日お世話になる藤の花の家紋の家にお邪魔して、刀以外の不要な荷物を置いていく。__ここからは聞き込みだ。この家の人も含め、周辺の人に鬼についての話を手分けして聞いて回る。その鬼がよく出る時間･･････比較的早い20時や21時頃。

鬼が狙いやすい対象･･････二十歳前後の若い女性だけでなく、独り身の男性や子供もいた。話を聞く限り少なくとも十人は喰っている。鬼が喰った人の数は鬼の強さに比例する。案外手強い相手かも。そしてひとつ気になったのは鬼に喰われた人は顔だけがそこに残されており、その顔はみんな笑っているというのだ。

意地悪な笑顔や微笑じゃなくて心からの偽りのない笑顔。あまりの気味悪さに背筋が震えてしまう･･････。聞き込みをした人には今日の夜はできるだけ外に出ないようにお願いした。聞き込みを行ううちに日は沈んできた__夜19時。善逸はびくつきながらもついてきてくれた。はぁ、と思わずため息をついた。