三十九通目 ページ5
『天城さん！』
｢ン〜、カノちゃんどした？｣
『ガチャ引いてください！！』
｢燐音くんに任せるっしょ♪｣
出社してすぐ、私は共有スペースでのんびりしている天城さんに声をかけた。
｢つ〜か、今日の運勢をガチャと俺っちに委ねるとか、カノちゃんもギャンブルしてんな〜｣
『天城さん、めちゃくちゃ運強そうなんで！お願いします！』
ちなみに、ちゃんとした占いもついさっき逆先にしてもらっているのだが、もらったメッセージには《本日の最下位は、ごめんなさ〜い、いて座のあなた！踏んだり蹴ったり、最悪な1日カモ》などとふざけたことが書かれていたので《ブロック》とだけ返しておいた。
そして私はいて座ではない。
｢んじゃま、いっぱつ｣
『頼みます！』
しゃらん、と効果音がして少しのロードの後、白色に光る画面。
｢確変来い！｣
『差せ！差せ〜〜！！』
｢どこで覚えてくンの、それ｣
光の中から出てきたのは、特に強いわけでもないRカード。
｢『微妙〜』｣
私と天城さんは声を揃えて椅子にもたれる。
反応しがたい結果ではあるが、逆先のクソ占いよりかは幾分かマシだろうか。
『天城さんは無敗記録保持者って聞いたんだけどな〜』
｢いやどこ情報。俺っちだって負ける時くらいあるっしょ｣
軽くため息を吐いて時計をちら、と見ると、もうすぐ集合時間だった。
『やば！じゃあ天城さん、ありがとうございました！』
｢頑張れよ〜｣
荷物をまとめて走り去る私を、天城さんは手を振って見送ってくれた。
続く
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作者名：桜乃茜 | 作成日時：2022年1月12日 23時
