ほんとうの王 ページ43
『戻って来てくださいますね?我らの王、月永レオさん?』
ニコッと微笑み手を差し出せば彼もまた、あたしに微笑みこの手を取ってくれた。
1粒の雫をその頬に流して。
グイッとこちらに引き寄せ、あたしは手を離す。
そして、あんずちゃんが丁寧に取り付けてくれたクラウンを外しそっと、彼の頭へ置いた。
ちょいと地雷を踏むかもしれない、と思ったのでもちろんフォローはする。
「これ…俺、嫌だ!いらない!こんな重いもの!!」
やはり王冠には過敏に反応してしまうみたいで、嫌だ嫌だと首を降った。
『大丈夫、大丈夫です。貴方の隣にはあたしがいます。女王のあたしが居ます。もうか弱いお姫様だなんて言わせない。あたしが、このKnightsをあなたと一緒に支えていきます!』
しっかりと手を握り彼の目を見れば、落ち着きを取り戻してくれる。
周りは、きゃーとか大胆だねぇ♪なんて事をこぼす輩もいる。
『貴方が重いと思うモノはあたしが一緒に背負います!だから!あたしの重いものを一緒に背負ってください!この王冠は私の決意なんです!!もう、貴方を独り歩きをする裸の王様だなんて言わせない!!貴方はちゃんと愛されてるよ。』
そう、これが賭けだった。
勝利の先に見すえた、あたしの作戦。
どうしたら、彼は戻ってきてくれるのか。あたしを認めてくれるのか。
きっと、勝っただけでは物足りない。
それを思うのはあたしだけかもしれない。
それでも、自分が認めてくれたと思うまで、詰め寄るつもりだった。
「分かってるよ。なんだろうな…ははっ。お前には適う気がしない」
一方的に強く握りしめていた手はいつの間にか彼からも握りしめられていた。
王様ー!女王陛下ー!万歳!!
なんて、どこかの国が敬意を払うようにするその仕草をされて、あたしたちは笑ってしまう。
彼は正面を向いた。
「改めて!俺がKnightsの王、月永レオだ!知ってる人はお久しぶりっ、初めましての人は覚えて帰れ!忘れてもいいぞっ、何度でも繰り返し刻み込んでやるよ!俺の名を!俺達の物語を!」
ライブ冒頭の言葉を繰り返し言う彼は、本当の笑顔をみんなに見せていた。
これがKnightsの王。
ほんとうの月永レオ。
わははは☆と笑う彼はこちらを向きそういえば、と呟く。
「ナル、その手に持ってるのなんなんだ???」
あぁ、すっかり私も忘れてしまっていた。
嵐ちゃんからそれを受け取り月永先輩に手渡しする。
それはもちろん、あの楽譜
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さりな(プロフ) - パスワード教えて下さりますか? (2019年9月7日 21時) (レス) id: d6387d6472 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆな x他1人 | 作成日時:2019年6月1日 13時