王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ5)

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隠れ姫① ページ5

その出来事は3年がいなくなり、1年が2年に、2年が3年になり、世代が変わる寸前の春休みに起こった。

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『ふんふふん♪ふふんふーん♪』

その日は朝ごはんが大好物で、鼻歌を唄い、気分上々絶好調だった。
軽い足取りであたしはいつもの校舎へ向かう。

あたしの通う夢ノ咲学院はアイドル科とその他学科は別々の校舎にある。

自分が通う校舎の正門前まで、横目でアイドル科のある校舎を眺めながら歩く。

相変わらず外から見ても大きいし、楽器とか沢山あるのかな？とか、音楽室広いのかな？とか、絶対音感持ってる人いるのかな？とか。

あたしの頭はいつでも音楽ばかり。
音楽が恋人のあたしは、ここではちょっとした有名人。

「あぁ、いつもの君ね。おはよう。」

正門の所にある、警備員さんはあたしの顔を見れば学生証なんてなくてもすんなりと入れてくれる。顔パスってやつ。

アイドル科の校舎でもないけれど、ここは一応、芸能界で羽ばたいていく"卵"をそだてる場所。

普通科はそれこそ、普通の卵を育てるのかもしれないけれど、声楽科や演劇科、そして音楽科。

アイドルの卵のみならず、才能の卵も育てているわけで、『夢ノ咲』自体チェックが厳しい。

ただーし♪
顔パスが通じるあたしは生徒手帳を出さずともあっさりすんなり♪

外部の人間が化けてたらどーするんだろう？なんて呑気に考えていれば、いつもの警備員が、あたしにとっては致命的で大ダメージすぎる一言を放つ。

「ああ！この春休み中、こっちの校舎の音楽室は改装中で出入りできないんだよ！！！」

『…え"っ。』

この一言。
周りからしてみればそんなん別に良くない？となるがあたしはそうもいかない。

音楽科なのだ、あたしは。