ツンデレ騎士の懺悔 ページ34
引っ張られる腕。
その歩くスピードに合わせるためあたしはパタパタと足を動かす。
途中、泉さんがちょっと寄り道していい?と聞いてくるからあたしはコクとひとつ頷く。
ありがと、とだけ短く言った泉さんはひとつの空き教室に足を運んだ。
そして、入るなりフワッと爽やかな香水の匂いがあたしの鼻を掠める。
それと同時に人の温もりを感じた。
首元をくすぐる銀髪。
後頭部と腰に回された男の人の手。
この温もりの正体に気づくのにそんなに時間はかからなかった。
泉さんがあたしの頭を撫でながら抱きしめてくれている。
「ごめん。」
弱々しく呟く彼は、少し震えていた。
泣いていないのにまるで泣いているような声を出すもんだから、こちらまで釣られそうになる。
「ごめん、A。あんたが頑張ってることは知ってたけど、俺が早いうちにストップをかけるんだった。」
起きちゃったことは仕方がないでしょぉ?ウジウジしてないで、さっさと切り替えてくれる?
いつもの彼ならこう言うのに。
今の泉さんはどうやら切り替えれないらしい。
だんだんと抱きしめる力が強くなってきてそろそろ苦しい…。
泉さん、と服を引っ張ろうとしたその時だった。
ばん!と空き教室の扉が開く音で、泉さんはあたしからすぐさま離れる。
開いたドアに2人で視線を寄越せば、なんだか不機嫌そうでご立腹のナイトキラーズの王が仁王立ちをしている。
「何やってんだよ、お前ら!俺を差し置いて!!セナ、いつから抜けがけするようになったんだ!!」
がるるると泉さんに向けて威嚇する彼は、あー!気分が悪い!と足早にこの場を立ち去っていく。
急に現れ急に去っていく彼に、呆然とするあたし。
いち早く我に返ったのか、泉さんがまた、ごめんって言ってあたしの手をとる。
今度はさっきよりも優しく引っ張ってくれて、あたし達は凛月くんたちの待つレッスンルームに戻って行く。
。
。
。
「あ"ー!!良くないもの見た!
「な、なんだかレオちんが暴れ回ってるのら!?くろうちん。なんとかしてとめにゃいと!?」
.
184人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さりな(プロフ) - パスワード教えて下さりますか? (2019年9月7日 21時) (レス) id: d6387d6472 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さゆな x他1人 | 作成日時:2019年6月1日 13時