王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ22)

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眠り姫と未熟な王様① ページ22

さく、さくと芝生を踏みつけながら、久しぶりの学校を探索する。

朝方、クラスメイトと思われる奴らが居た教室にもちゃんと顔を出したし、俺は怒られないっ！

大丈夫、大丈夫♪

何故か、妖精さん…に壁に落書きをするな！！！と怒られたけどあれは決して落書きじゃないからな！？

天才が書いた世界に残る名曲だからな！？

顔もわからない担任の話をダラダラ聞きながら、HRが終われば、俺は一目散に教室をでてきたっ！！

だってつまんないんだ！
行動力がある俺って天才だなっ☆

真っ暗な部屋から出れば、幾らか気分はマシになった…気がする！

こんな腐ったところには正直来たくもなかったけど、俺が動かなきゃいけないのは、この前のるかたんとセナからのメッセージで思い知らされたのは事実。

「う〜…でもなぁ、いくら天才的な俺でも授業の内容は変えれないっ！」

音の変わらないこの芝生はつまんない！！！
景色も変わらない！あー！霊感が湧かない！つまらないつまらない！

来るんじゃなかったと後悔し始めた頃、そこに居た奴に、俺は目を奪われる。

木下ですやすやと眠るそいつは、なんでかスカートを履いている。
大きなパーカーのフードを被っていて顔が見えない。

「(男にしては…細い？？？)」

そいつをマジマジと見つめていれば、風がさぁっと吹き、同時にそいつのスカートがフワッて…

「う、うわ！？」

あぶね…
危機一髪、俺がそっとスカートを抑えて、何とか中身を拝見せずに済んだ。

やっぱ俺って天才なの？
音楽の神に好かれちゃった！？

あぁ、こいつを見てたら霊感が湧いてくる！！
今なら長編ドラマのような曲が書けそうだ！！！

俺はすかさずペンとメモ帳を出して、床に座り込みせっせと音符を並べていく。

『ん……。』

俺は作曲してる時、周りの世界と自分の世界をシャットダウンするのが大の得意なんだ！

だから俺は気づかなかった。

こいつが誰なのか、なんて。