Cinderella.47 ページ11
『いい加減にしてよ!!!』
「急に大声出さないでー?びっくりしちゃうなぁ?そんなに言われるのが恥ずかしいの?」
『やだ!そんな見透かした言い方!あたしは別に泉先輩の事はっ…!!!』
「事は…?」
泉先輩…の、事…は…?
あれ、?出てこない…
言えば、アンナはまとわりついて来るのを辞めるだろうし、言ってしまえばきっと気持ちに整理がつく。
なのにどうして?
"好きじゃない"
どうしてそれが言えないの?
アンナが待ち望んでいる言葉だから?
それとも
言ってしまえば寂しくなるのは自分だって分かってるから?
嫌、やめてよ。
気づきたくない、こんな気持ち。
きっとあたしにはまだ早いから。
「黙ってちゃわかんなーい。ねぇ、本当は好きなんじゃないの?瀬名くんの事」
ニヤッと気味の悪い顔をするアンナに余計腹が立つ。
だから思っても無いことが口からボロボロ出てしまう。
言葉とは、重みがすごくて一生埋まることの無い溝を生み出すときがあるんだ。
『だからやめて!あたしは…!泉先輩のことなんか好きじゃない!』
「どうして?あんなに仲良さそうなのに。」
『うるさい!ゆうくんゆうくんってうるさいし、その癖自分が面倒なことはウザイで片付けちゃう!過保護だし、面倒見良すぎてこっちがウザイのよ!!』
はぁと息を切らしたところで、ハッと我に返った。
…しまった。
「ふーん?俺のことそーゆうふうに思ってわけねぇ?」
やってしまったと思った刹那。
聞き覚えのある声が沈黙を破る。
「あっ、瀬名くーん♡」
抱きつくアンナを避けもせず、冷たい視線はあたしに降り注いだ。
隣には嵐くんもいて、オロオロとあたし達を見た。
『泉せんぱっ…』
「話しかけないでくれる。」
『っ…!!』
ふいっと顔を逸らして楽屋に戻っていく泉先輩。
初めてだ、突き放されたの。
ウザイとか面倒くさいとか思ったことなんて1度もない。
むしろ居心地がよかったくらいなのに。
相手に踊らされて、思ってもないことを口にして、そして抉れるように空いてしまった大きな溝。
追いかける資格なんて、そんなものあたしにはなくって。
泉先輩に引っ付くアンナは、コチラ見るなり「ばーか」と口パクをした。
それにさえ、反抗なんて出来ないくらい、あたしの頭は真っ白だった。
「Aちゃん…。」
ただ呆然とたちつすくあたしに、嵐くんは背中を摩ってくれる。
遠くなればなるほど、貴方の大切さがこの身に染みていくよ。
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さゆな(プロフ) - 空麦さん» ありがとうございます!と言いつつ続編また出来ちゃいました...笑 これからもよろしくお願いします! (2019年6月25日 23時) (レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
空麦 - 元、麦ちゃんです♪続編おめでとうございます!!本当に、面白いです♪これからも、頑張ってください。応援してます! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - 零さん尊いさん» ひええ!ありがとうございます!そろそろ終盤なんですー!頑張りまっす! (2019年6月20日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
零さん尊い - 続きが気になります!無理をしない程度で頑張ってください! (2019年6月18日 23時) (レス) id: f191d1a880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆな | 作成日時:2019年6月17日 16時