Cinderella.42 ページ6
『ごめん、ありがとう……。』
気の済むまでリバースをして、袋を新聞紙に包みポイッとすれば、水を片手に駆け寄ってくれるマオマオ。
一方、凛月くんはあたしを膝枕にして狸寝入り。
何しに来たんだこやつは。
水を1口飲めば、結構スッキリした。
それでも、あの光景が目に焼き付いて離れてくれない。
思い出しただけで、また戻しそう。
「それで何があったんだよ?朝はピンピンしてたよな?」
背中をさすられ、ゆっくりでいいぞ、と促すマオマオ。
イケメンか。腐れ縁瀬名泉よりイケメンか。
『校庭で…2-Aが体育をしてて…その、窓から琥珀色に似た髪の毛が見えたもんだから…』
「それって、ゆうくんじゃないの〜…ふぁ…。」
やはり狸寝入りか。
モゾモゾと動く凛月くんは相変わらず眠そうにあくびをした。
『それが…体格からしてどうも女の子みたいで……』
「はっ?おいおい、それってまさか…」
『う、うん…自意識過剰かなっても思ったんだけど…』
「それはどうだろうねぇ。あいつ、アンタのこと睨みつけてたし…ワンチャンあるかもよ?」
「そんな事あったら怖すぎだろ!?それってつまり、転校生がAの髪色を真似たって事だよな!?」
そう、つまりはそーゆーことだ。
ついこの間まで、彼女は暗い茶髪のはずだったのだ。
夢ノ咲のアイドル科に女なんてあたしと彼女しかいない。
このあたしが琥珀色に似た髪の第1発見者なら、正体を掴むのなんて容易いことだった。
憧れて真似をする、なんて可愛い理由は幾らでもつけれる。
それが、普通の純粋な女の子なら。
だけど、あれは別もの。
マオマオの中でも、どうやら彼女の印象は宜しくないらしく、この考えに辿り着く前の変な寄り道はしなかった。
睨まれ、強く手を握られ、含みのあるような笑みを向けられてしまえば、可愛い理由を付けれるはずがない。
心底気持ち悪い。
メディアに取り上げられて、人気をあげるためだけなのかもしれなかったけれど。
なんにせよ、芸能界でさえこの髪色は珍しいと言われたのだ。
真似た、という考えが普通に広まるだろう。
あの時の笑みは完全にあたしを潰す気満々の顔だった。
それなのに、なんでこんなよく分からない行動をするのか。
それが余計に気持ち悪い。
『うっ……』
「え、今ここで戻さないでよ…?俺に降っかかる…。」
「じゃあお前どけよ!?」
大丈夫、と言いあたしはまた水を口に含んだ。
あー、気持ち悪い。
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さゆな(プロフ) - 空麦さん» ありがとうございます!と言いつつ続編また出来ちゃいました...笑 これからもよろしくお願いします! (2019年6月25日 23時) (レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
空麦 - 元、麦ちゃんです♪続編おめでとうございます!!本当に、面白いです♪これからも、頑張ってください。応援してます! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - 零さん尊いさん» ひええ!ありがとうございます!そろそろ終盤なんですー!頑張りまっす! (2019年6月20日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
零さん尊い - 続きが気になります!無理をしない程度で頑張ってください! (2019年6月18日 23時) (レス) id: f191d1a880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆな | 作成日時:2019年6月17日 16時