Cinderella.51 ページ15
『失礼しました。』
プロデュース科からアイドル科への残りの簡単な手続きを済ませるため、生徒会室で作業をしていた。
それもキレイさっぱり片付いたので、あたしは教室へと歩みを進める。
教室には誰もいなくて、ポツンと机の上に置かれた自分の荷物。
忘れ物はないかなって確認をして、もしかしたら嵐が待ってるかもしれないからと駆け足で今度は下駄箱へと向かった。
はすみん先輩に見つかることも無く、無事に下駄箱に着いたあたしは、嵐がまだ来ていないことを確認する。
『あ、今日寄り道する所調べてみよーっと』
サッとスマホを取り出してすすいのすいと画面をいじると出てくるお店のホームページ。
今回はクレープのお店だった。
バレンタインも近いのか、限定モノが昨日からやってるみたい。
後で見せてあげよう♪
そう思い時間を確認してからスマホをポッケへとしまう。
すると、後ろからカタンと物音がした。
あ、用事終わったのかな?
そう思いクルリと後ろを見やる。
『ねえねえ、嵐!さっきスマホでお店調べたんだけど限定…のやつ、が…』
「…俺はナルくんじゃないけどぉ。」
揺れる銀髪。
違う、嵐じゃない。
鋭いアイスブルーの瞳。
ツッと冷や汗が背中を流れた気がした。
『あ、瀬名…先輩。すみません、人違いでした。』
「ちゃんと確認してから声掛けなよねぇ。チョ〜うざぁい。」
久しぶりに悪態をつく瀬名先輩にどこか安心してしまう自分がいた。
あぁ、まだあたしにもそんな風に話してくれるんですね、って。
「ごめんなさい、A!ちょっと長引いちゃって!…ってあら、泉ちゃん。どうしたの、2人でこんなところに突っ立って…」
沈黙が流れる中今度は正真正銘嵐が来た。
助かった…。
「別にぃ?此奴が俺とアンタを間違えたってだけ。それ以外は何も無いから。」
「そうなの?待たせちゃってごめんなさいね、A。さ、行きましょうか♪」
『う、うん…。』
「またね、泉ちゃん♪」
あたしの腕を優しく引っ張る嵐にあたしは身を任せるしかなかった。
瀬名先輩に手を振る嵐を見て、後ろをちらっと見るといつもの余裕そうな瀬名先輩の顔はそこにはなかった。
それはお世辞にも1億の顔なんて言えないほど、酷く寂しそうで悲しそうな顔。
大事なものを取り上げられて泣いているような幼子の顔。
どうしてそんな顔をするの?
今すぐにでも抱きしめてあげたい、なんて本当に虫が良すぎる想いだった。
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さゆな(プロフ) - 空麦さん» ありがとうございます!と言いつつ続編また出来ちゃいました...笑 これからもよろしくお願いします! (2019年6月25日 23時) (レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
空麦 - 元、麦ちゃんです♪続編おめでとうございます!!本当に、面白いです♪これからも、頑張ってください。応援してます! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - 零さん尊いさん» ひええ!ありがとうございます!そろそろ終盤なんですー!頑張りまっす! (2019年6月20日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
零さん尊い - 続きが気になります!無理をしない程度で頑張ってください! (2019年6月18日 23時) (レス) id: f191d1a880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さゆな | 作成日時:2019年6月17日 16時