先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ17)

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ガヤガヤと相変わらずうるさい校舎内

時折見かける掲示板には人だかりが出来ていて横目で見ればあの子のライブ告知ポスターが貼られている

それを写メで撮ったりしては誰かに送って拡散

最近、そんな光景を俺はよく目にするようになった

そしてそれを見て自分のカバンの中にある1枚の紙切れを思い出しては口角が上がりにやけるのを隠すためにそそくさと寝床に行く

「唯一の女のアイドルだろ？プロデュースはやっぱ転校生だよなぁ！」

「天使と女神の組み合わせか。最高じゃん、高そう…」

「いつからチケ販？」

「明後日らしいぞ」

すれ違うヤツらから聞こえる会話は俺の優越感を更に増させる

あーあ、俺も俺で期待しすぎだよねぇ。もしかしたらAの意中の相手は俺、なんてさ。

でも正直言ってそう思うのも無理はないでしょ？

あのセッちゃんですら動揺するだろうねぇ、ふふ…面白そう。

『あ、あの…先輩…！！』

「ん？」

ふと、どこからかあのこの声が聞こえた気がした。

辺りを見回しても姿は見えなくて曲がり角を曲がろうとしたところで、俺は歩をとめた。

なんなら隠れたのだ

「(…ま～くんとA…？)」

曲がり角の先には頬を染めたAと、頬を軽く掻きながら照れくさそうに笑う幼馴染

「(いった…)」

急に胸が何かで刺されたような痛みを感じて、俺は思わずぎゅっと胸元を握る

それでも2人が何を話してるのか気になるもんだから聞き耳を立てれば

『___が好き、なんです…あの、その、だから____』

「____だよな、知ってた。____だからさ____俺でよければ。」

ああ、聞きたくなかったそんな言葉そんな会話

普通あの状況って告白シーンじゃん

おかしいなぁ、俺の予想はAはライブ後に相手に告るもんだと思ってたのに

「はぁっ、はあっ…はぁっ」

ケホッと軽く咳き込んで、また俺は走り出す。来た道を戻って今度は右に左にって適当に曲がって走って

「うわっ」

「いった！？ちょっとぉ、どこ見て…ってくまくん？」

誰かにぶつかった
まあその誰か、なんてわかり切ってる。くまくんって呼ぶのはたった1人だけ

「せっ、ちゃ…ん。」

「なんでそんな酷い顔してるわけぇ？」

「………………」

俺はその質問に答えることも、ましてや「ぶつかってごめん」なんて言えずに

ただ俯いた

ねえ、セッちゃん。「お兄ちゃん」なら俺が泣いてたって見逃してくれるよね？

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