・ ページ5
・
駅前8時50分
『……5分前じゃ負けると思ったから10分前に来たのに』
「馬鹿は意味のない勝負事が好きなんだな」
『うるさい。………ところで、何分前からいたの?』
「Aより前だ」
『そりゃそうだけど! そういうことじゃなくて…』
詰め寄る私を無視して、宿儺はスタスタと先に行ってしまう。どうやら意地でも言わないつもりらしい
流石に1時間前からなんて有り得ないが、それでも早めに来るってことは何かしら意味があると私は思う
だけど、楽しみで早めに来たなんて、私と同じようなものでは絶対ないよなぁ……
私は思考しながらも、ちゃんと立ち止まって私を待ってくれている宿儺の元へと駆け出した
*
電車は休日なので混雑している。ぎゅうぎゅうとおしくらまんじゅうのように人に押され、扉へと押しつけられる
く、苦しい……。都会怖い……。前は開いた席に悠仁が座らせてくれたからいいものの、今回はそんな奇跡は起こらなかった
なんとか扉と頬の間に両手を滑り込ませ後ろからの圧に耐えていると、突然押される感覚がなくなった
不思議に思い振り返ると、そこには両肘を扉につけ、隙間を開けて私を守るように仏頂面の宿儺が立っている
『す、宿儺それキツくない? 私に寄りかかった方が絶対楽だよ?』
「お前がどうしても潰されたいというのならそうするが?」
『……スミマセンそのままでお願いします宿儺様』
キツい筈なのに、宿儺はいつも通りの無表情のまま満員電車の中を耐えている。申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、かと言って私に何かできるわけでもない
ふと、扉の窓越しに宿儺と目が合う。宿儺は私の申し訳なさそうな顔を見ると小さくため息をつき、少しだけ私の方へと寄りかかると、私の背中に宿儺の体が触れた
『っ、』
急激に触れられている所の温度が跳ね上がる。密着と言うほどではない、服越しだ。それでも体温というのは感じてしまうもので、温かい人肌に心臓の脈打つ速度が上昇してしまう
顔を赤くする私を見て「ほら見ろ」と言わんばかりに宿儺はふんっと鼻を鳴らし、私に寄りかかるのをやめて元の位置に戻る
「本当に寄りかかったらもっと密着することになるんだが、それがお望みか?」
『……スミマセン勘弁してください宿儺様』
私はニヤニヤしながら聞いてくる宿儺に赤面しながら本日二度目の謝罪をした
・
408人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眠民。 - 完結おめでとうございます!!シロツメココロさんの作品を一気見して、一番好きな作品がこれですっっ!!虎杖推しではありますが、普通に宿儺かっこいいんだよなぁ‥。夢主ちゃんは結局どちらを選んだんですかね!?神作品ありがとうございました!!大好きです❤ (11月26日 16時) (レス) @page30 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
シロツメココロ(プロフ) - ナナ宮さん» コメントありがとうございます。まだ虎杖悠仁もあるのでまだ旅立たないでください(笑)。こちらは愛してますよォ(イケボ) (2022年6月20日 23時) (レス) id: d24c7f43b6 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ宮 - ずぎでずぅぅぅぅ!!!!(泣)ありがどうございまず!!素敵な人生でした…今なら◯ねます、本望です。こんな素晴らしい作品に出会えて幸せっす…!続きめっちゃ楽しみです!更新楽しみに待ってます! (2022年6月20日 23時) (レス) @page13 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シロツメココロ | 作成日時:2022年5月7日 12時