三十八話 ページ46
「可愛い後輩が飛ばされたって聞いたから好奇心で仕事ついでに着いてきちゃった」
ほら碌でもないとばかりにAの眉間が険しくなる。
『後輩になった覚えがないんですが。部署だって掠りもした事ないし』
「一つの同じ組織にいるって時点で後輩でしょ?」
まあそうですね、と軽く返事を切り上げて僧正の後ろをついて歩く。
冷めた対応をされても呑気に、相変わらずつれないなあ、と唇を尖らせて拗ねたフリをする成人男性を無視し、Aは見えてきた目的の部屋まで足を早める。
扉の横に備えられているパネルに自分──審神者とは別に役人として──のコードを入力して確認ボタンを押す。
先ほどの受付の時とは違い、エラーが出ることもなく扉が開いた事にひっそりと安堵して扉をくぐった。
「流石にそっちは凍結されてないかあ。ま、そうだよね。勝手に別の部署の人のは書き換えられないか」
先程とは逆転してAの後を追いかけるように入室してきた僧正は、部屋にいくつかあるゲートの一つに向かい、時空移転装置とは別に設置された受付にあったものより幾分か新しく見えるパソコン起動させた。
起動音と入力音を伴い作業する様子を眺めながらAは腕時計を確認する。
『15時か…意外と時間かかったな』
そう小さく独り言つ。
商品が届く時間は16時。それまで約1時間の猶予があり、これで多少作業をしても遅れるようなことはないだろう。
頭の中でやる事なす事の計算を考えて、丁度よく作業を終わらせたらしい僧正がAの審神者用の身分証を差し出した。
「はい、凍結は解除しておいたから。階級に適正な権限が削除されてたからそれも付与しておいたよ」
『…ありがとうございます』
ぱちんとウィンクと共に渡された身分証を何事も無かったかのように受け取った。
僧正はそのままパソコンに向かって再び作業を初めてたので、Aも気にせずに時空移転装置を動かす。
『日付…今日、時刻は現在時間で…場所は…』
慣れた手つきで日時と場所を指定するAに僧正が不意に言葉をかけた。
「そういえばなんだけど、一人で街に来た?」
『いえ。刀剣男士と来ました』
「一振も見えなかったけど別行動?」
それが何か、と問おうとしてそれよりも早く僧正がパソコンのモニターを見せる。
そこに映っていたのはこの商業街周辺の地図だった。
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うぇぽんぬ氏(プロフ) - 佐野さん» お気に入りとコメント、指摘とありがとうございます。言われてみれば"男侍らそ"は喋り言葉過ぎて伝わりにくかったかも知れませんね…迂闊でした!修正しましたので、今後も暇つぶし程度でもいいのでお付き合い頂けると嬉しいです。 (2017年6月14日 1時) (レス) id: 6ef3653dc5 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 初めまして。興味を惹かれるお話でした。お気に入り失礼します。ところで読みにくいかどうかのお話ですが、一点だけ。"男侍らせ"のところは"男を侍らせる"とした方がいいかと。少しの指摘で申し訳ありません。更新、無理のない程度に頑張ってください。 (2017年6月3日 9時) (レス) id: 144045511b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うず麿 緋◯ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年1月16日 22時