三十七話 ページ45
白地に黒の縁、情報と書かれた文字の隣には階級を表す三本線と右目のマークが描かれている腕章。
一目で見てわかる情報機関の上層部の人間が身に付けているそれ。このタイミングで助かったと言えば助かったが、A的に正直世話になりたくないし借りを作りたくない人間だった。
「いやー、大変だったねえ。強引に部署変えられて突然審神者をやらされると思ったら凍結してたって」
やや茶髪の見るからにチャラそうな男。廊下で誰かとすれ違う度に相手が振り向くぐらいには顔がいいに分類される、らしい。
『ありがとうございます、
「どういたしましてー。今は伯耆って呼んだ方がいい?」
『お願いします』
旧知という程でもないこの男がなぜこの街にいるのか。おおよそ仕事で来ていて偶然鉢合わせたに過ぎないのだろうが、如何せん疑ってしまう。
「それにしても災難だったね。ちょっと聞こえたんだけどゲートも使えなかったんでしょ?どうやって前任は職務こなしてたんだろうねえ」
「そうそう、小耳に挟んだ話なんだけど君の所の新しい上司、なんか暴れてるらしいよ。今度は何が思い通りにならなかったんだろ〜」
「彼の部下の
この男、僧正は世間で言うところの陽キャなのだ。こちらがレスポンスしなくとも話しかけてくる。人との距離も大概可笑しい。
今だって一切の相槌をうってないのにこのペースだからAとの相性が一方的に悪い。
「あ、そうだ。その身分証の凍結も解いちゃおうか。これから暫くはそっち使うだろうし」
なまじ良くしてくれる人間なので余計にタチが悪い。
しかし善意か打算か、もしくは真っ当な職務からくる行動原理か(情報機関の人間としての矜恃からだと思いたい)凍結を解除してくれるのはありがたいので、素直に身分証を渡す。
『ところで、なんでこの街に』
この人の管轄にこの街は入っていないはず。仕事でここに居るとして、では一体なんの仕事なのだろうか。
他機関、他部署間での詮索は暗黙の了解で御法度扱いなのだがずかずかと踏み込んでいく。答えても答えなくてもどちらでもいい、機密の仕事か、碌な答えじゃないか。
答えはその折半だろうとAは予想を立てた。
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うぇぽんぬ氏(プロフ) - 佐野さん» お気に入りとコメント、指摘とありがとうございます。言われてみれば"男侍らそ"は喋り言葉過ぎて伝わりにくかったかも知れませんね…迂闊でした!修正しましたので、今後も暇つぶし程度でもいいのでお付き合い頂けると嬉しいです。 (2017年6月14日 1時) (レス) id: 6ef3653dc5 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 初めまして。興味を惹かれるお話でした。お気に入り失礼します。ところで読みにくいかどうかのお話ですが、一点だけ。"男侍らせ"のところは"男を侍らせる"とした方がいいかと。少しの指摘で申し訳ありません。更新、無理のない程度に頑張ってください。 (2017年6月3日 9時) (レス) id: 144045511b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うず麿 緋◯ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年1月16日 22時