三十四話 ページ41
「その組分けなんだが、大将、内訳はどうなってる？」
『お前たち三人が先行組、私が後行組』
「「えっ！？」」
秋田と五虎退の声が重なる。厚はやっぱりな〜と大方予想でもしていたようで、それほど驚いた様子もない。効率を第一に考えるならこの組分けが一番合理的だ。
そもそも後行組は色々な確率が絡んでいて複雑なのに対し、先行組は至ってシンプルにそのまま急いでまっすぐ帰還すればいい。
多少三人だけにして心配事も無いわけではないが…二人をまとめる厚がちゃんと手綱を握っていればそうそうに問題も起きることはないだろう、というAの見解である。
そして何よりの理由がA一人の方が移動が早い。いくら付喪神で人間より素材がよく身体能力も高いとはいえ、練度が低いままでは訓練された人間には勝てない。
これがもし山場を越え戦場を越え、練度数も折り返して半ばなら五分五分あたりで張り合えるかもしれないのだが。
『二人一組に別れても良かったけれど、もしゲートが使えなかった場合を考えると二人行動は足を引っ張る可能性がある。それよりも三人が先に帰って皆に先触れをしてくれた方が助かる』
土産も早く届けたいし、と手に持っていた包みを厚に渡す。今のところ中庭に集まってくれた面々は暴れ出すことは無いだろう。
長谷部もまあ、あの様子なら大丈夫だとは思われる。
問題なのが自室に引きこもっているもの達だ。人の手が入った食べ物を受け取るかも怪しいが、空腹で食料もないからと暴れられても困る。
可能性が減るならさっさと届ける他ないだろう。
『私はまだお前たちしか知らない。他に誰が折れていて、誰が生きているのかも把握出来ていない。だから三人に頼む。理解出来るか？』
「…わかりました。このお団子は僕たちが責任持って、ちゃんとみんなに届けます！」
秋田が五虎退と一緒に持っていたもう一つの包みを元気よく持ち上げる。五虎退と厚も納得してくれたようだ。
『それじゃあ後でな』
「はい…！」
軽く頭を下げてから五虎退が駆けてから厚と秋田もそれに続くように駆ける。厚があの三人の中のまとめ役、隊長だと思っていたが、実際は五虎退がそうだったようだ。
小さくなる三つの背中を見えなくなるまで見守り終えてからAも行動し始める。向かう先はこの街の中核を担う中央だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うぇぽんぬ氏(プロフ) - 佐野さん» お気に入りとコメント、指摘とありがとうございます。言われてみれば"男侍らそ"は喋り言葉過ぎて伝わりにくかったかも知れませんね…迂闊でした！修正しましたので、今後も暇つぶし程度でもいいのでお付き合い頂けると嬉しいです。 (2017年6月14日 1時) (
レス) id: 6ef3653dc5 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 初めまして。興味を惹かれるお話でした。お気に入り失礼します。ところで読みにくいかどうかのお話ですが、一点だけ。"男侍らせ"のところは"男を侍らせる"とした方がいいかと。少しの指摘で申し訳ありません。更新、無理のない程度に頑張ってください。 (2017年6月3日 9時) (レス) id: 144045511b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うず麿 緋◯ | 作者ホームページ：
作成日時：2016年1月16日 22時
