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二十一話 ページ28

今すぐ答えを出す必要も聞く必要もない。それに先程から誰かしらの空腹を訴えるお腹の音が聞こえる。
 元はと言えば買い出しに行く直前だったのだ、誰かの腹の音が奏でられるのも無理はない。食料問題は正直へし切問題よりとても重要だ。

 近くの燭台切に軽く声をかけて昨日あの男と話をした部屋へと向かう。あの男の自室を掃除していない上、現状Aが使える部屋は限られている。例えあの死体が転がっていようとも荷物を置くぐらい別に問題じゃない。

 例の部屋へ着くと着物から着替える。流石に血塗れの着物のまま買い物はいくら人目を気にしないといえど気が引ける。着物の下に着ていたTシャツと折り曲げて穿いていたジーンズの裾を下ろして、これで多少は動きやすくなったし血塗れでもなくなった。多少の防御機能は落ちた気もするが、別に政府本部にでも戦場にでも行く訳でもないのてこれでいい。
 着ていた着物は簡単にまとめて畳の上へ置いておく。恐らく染み付いた血はもう取れないだろうが何かしら使えるかもしれない。例えば火をおこす時の火種をつける時とか。逆にこれ以外の利用価値が思いつかないが。


 出かけるために正門へと向かうと既に三つの影が見えた。五虎退と秋田、それから厚の三人だ。
 恐らく護衛という名目で買い物に同行するのだろう、少なくとも秋田と厚はそのはずだ。五虎退に至っては…何でこんなに懐かれているのか何となく理由は分かるが不思議で仕方ない。
 やや心の中で首を傾げながら向かうと早い段階でこちらに気がついた五虎退が軽く駆け寄ってくる。それに釣られて秋田も駆け寄り、同行する二人が走って行ってしまってはついて行かざるを得ないという風な呆れと苦笑気味に厚もワンテンポ遅れて寄ってくる。

「あの…お買い物にいくと聞いて、お供しに来ました。……ダメ、でしたか…?」
『駄目じゃないさ、率先して動いてくれて助かる。ありがとう。』
「よ、よかった…えへへ」

 現状立場の微妙な私の側に来るのは途轍もない勇気と恐怖が伴うだろうに。
 残りの二人にもありがとうと告げる。

「僕もお供をしに来たんですよ!荷物持ちなら任せて下さい!」
「オレはこいつらの御目付け役だが、手伝えることがあったら言ってくれ。」

 ……この二人も五虎退とあまり変わりないくらい懐いてきているように見えるのは何故なんだ。
 別に何もしてないんだけどな、と頭を悩ませながら三人に頼りにしていると告げて買出しへと向かう事にした。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 刀さに   
作品ジャンル:アニメ
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うぇぽんぬ氏(プロフ) - 佐野さん» お気に入りとコメント、指摘とありがとうございます。言われてみれば"男侍らそ"は喋り言葉過ぎて伝わりにくかったかも知れませんね…迂闊でした!修正しましたので、今後も暇つぶし程度でもいいのでお付き合い頂けると嬉しいです。 (2017年6月14日 1時) (レス) id: 6ef3653dc5 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 初めまして。興味を惹かれるお話でした。お気に入り失礼します。ところで読みにくいかどうかのお話ですが、一点だけ。"男侍らせ"のところは"男を侍らせる"とした方がいいかと。少しの指摘で申し訳ありません。更新、無理のない程度に頑張ってください。 (2017年6月3日 9時) (レス) id: 144045511b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うず麿 緋◯ | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年1月16日 22時

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