好き、好き、大好き2 (ページ32)

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A「海君…！」

海「走ってきたの？別によかったのに」

肩で息をする私を見て海君が言う

A「待たせちゃうと思って」

海「案外元気なんだ。」

A「ふふ。涙も出なかった」

海「さ、隣座って」

A「うん」

公園のベンチに腰掛ける

海「頑張ったね」

A「え？」

海「そういう時はね、知らないうちに無理してんだよ」

知らないうちに…

A「そうかな？」

海君が小さく微笑んで頭を撫でる

A「そんなことされたら…
涙出ちゃう…」

海「泣いていいんじゃない？」

A「…っ」

海「よしよし」

A「…海君！！」

佑亮って、名前を言えなかった
佑亮が、誰かのものになるって
思ったら言葉にならなかった

佑亮を失った哀しみは大きすぎて
心が麻痺してたんだ。

どうしよう。
涙止まんない…

A「っ、」

海「A」

A「ぇ」

小さく声をあげた瞬間
唇を重ねられる

あ、涙止まった

A「…」

海「俺と、付き合わない？」

A「…え？」

付き合う？
って、恋人の？

海「Aちゃんが好きって、
言ったでしょ？」

A「や、でも失恋したばっかで…」

海「利用してもいいんじゃないかな」

A「利用なんてできないよ。」

海君が唇を尖らせて考え込む

A「…海君は私と違って
恋愛経験がきっと豊富だし。」

海「そう？」

A「じゃなきゃ、あんな軽くキスできないよ！」

海「軽く…？」

A「か、軽く？」

海「俺が、軽い気持ちでこんなことすると思ってんの」

A「…！」

顔を見上げれば大きく顔を
歪めた海君

海「好きな子の、恋愛相談受けて平気でいられるほど、大人じゃないんだよ」

A「…」

言葉も出ない
海君のこんな顔初めて見たし

佑亮のことは頭の隅に追いやられていた。

海「佑亮の話を聞く度に、
どうやって奪ってやろうって考えてた。」

A「う、奪う…」

海「うん。泣いてるAちゃんを見たら、俺だったら泣かせないのにとか、思ってた」

A「うん…」

海「ごめん、もう遅い時間だ」

A「あ、ほんとだ」

海「送るよ」

A「ありがとう。」

海「あ、今話したこと…」

A「付き合うって、話
考えさせて…ごめん時間がほしい」

海「うん…」

A「佑亮、忘れさせてくれる？」

海「できるか、わかんねーけど」

海君が少し笑った