スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ14)

今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:36,587 hit

episode59 ページ14

・

ご飯を食べ終えたら

・

ソファに並んで座って、
紫耀くんが私の腰に手を回す。

・

・

ベッドに染み付いたにおいじゃなくて
身体を寄せ合って感じるのは
やっぱり落ち着く紫耀くんのいいにおい。

・

・

「心配かけてごめんね？」

・

照れ隠しなのか、
テレビの方をむいたまま紫耀くんが呟いて

・

「んーん。」

・

「あの子ね、友達のコウくんの彼女なんだ」

・

「そ…なんだ」

・

「コウくんに悪いから言えなかったけど、実はちょっと言い寄られた…つーか、なんか…正直俺も困った。」

・

距離感がおかしい、と感じた彼女は
やはり少し変わっていたみたいで…

・

紫耀くんたちみたいに煌びやかな世界にいる人たちからしたら
珍しいことじゃないんだろうけど、

・

やっぱり繋がりを持ちたいとか
あらゆる手段を使って言い寄ってくる女の子はいるみたいで

・

自分の友達の彼女が
友達を利用して自分に近づいてくる…

・

・

それは紫耀くんにとってもいい気持ちなわけがなくて

・

「何も考えずに写真送ったりしたのは本当にごめん…。Aさんが嫌な気持ちになるなんて、ちょっと考えれば分かるのに…」

・

なのに、申し訳なさそうにする紫耀くんに
さっきまでのモヤモヤなんてどこかへ消えて

・

・

「大丈夫だよ、紫耀くんのこと信じてるから。私こそ疑うようなこといってごめん。」

・

・

重たい空気を晴らしたくて

・

「ね！そういえばぬれおかき買ってある！」

・

・

勢いをつけてソファから立ち上がれば

・

「やったー！食べよ！」

・

これでこの件で悩むのはおしまい！というように
紫耀くんも立ち上がって

・

・

「ね、そういえばこないだ海人がAさんに会いたい〜って言ってたよ」

・

「え、海人くんが？」

・

「ご飯屋さんであったじゃん？あの時。紫耀の彼女さんともっと仲良くなりたい〜って」

・

「えー、会う会う！」

・

ぬれおかきを食べながら

・

「え、でも海人って歳上キラーっぽいとこあるからなぁ。Aさんが海人にデレデレしちゃったら今度は俺がでかいヤキモチやくよ？いーの？」

・

「えー、それはないよぉ」

・

「いや、あんの！アイツほんと上手に甘えるからなあー」

・

「紫耀くんだって甘えるじゃん。笑」

・

「へへへ、Aさんにだけね〜」

・

やっぱり紫耀くんが大好きだな、って思った。