スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ6)

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episode6 ページ6

「イケメンに助けられて酔いさめた？」

我に帰ると
店員さんが笑ってる。

「…さめました」

悔しいけど、
さっきまでフワフワしてた頭はハッキリしていて

今の一連の流れを思い出して
顔が熱くなった。

・

・

それから、お店を出て駅に向かう間頭の中では
助けてくれたあの子のことをぐるぐる考えていて

多分歳下だろうなとか

もしかして大学生？
あんな顔が整った子いるの？とか

そんなことを考えていたら
あっという間に駅について、

そして……

「うそ……」

やっぱり
今日はツイてないと頭を抱えたくなった。

私の使う路線の電光掲示板に浮かぶ
「人身事故の影響で運転を見合わせております。運転再開時刻未定」の文字。

違う路線を使って遠回りしたり、別ルートから帰ることもできたけど
時間がかかることを考え、タクシーで帰ろうと
大通りで待っていると

向こうからやってきた黒い車が
私の目の前でハザードたいて停車して

助手席の窓が開くと
運転席にみえたのはサングラス姿だけど
確かにさっきの、美青年。

「さっきのお姉さんですよねー？」

彼はそう言うと、

「送りましょうか？」

運転席側から身を乗り出して助手席のドアを開けた。

「……でも」

見ず知らずの男の子の車に乗るのって…

躊躇っている私に

「心配しなくても大丈夫、送るだけだからー」

彼はニッコリ笑ってみせたから

「お願いします…ごめんなさい」

お言葉に甘えて車に乗り込んでしまった。