スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ48)

今日:18 hit、昨日:17 hit、合計:264,629 hit

episode45 ページ48

・

・

トーク画面を開いたまま

・

・

私の思考回路はプツリと途絶えた。

・

・

彼がどんな人なのかを知ってしまった今、
こんなふうに容易に連絡をとることは許されるのだろうか。

・

・

かといって、
せっかく送られてきたメッセージ。

つい今さっきまで、

彼がその辺のちょっと並外れた外見の大学生くらいに考えていたついさっきまで、

待ちに待っていたメッセージ。

・

・

既読をつけてしまった以上
無視することなんて出来なくて、

・

・

A空いてますよ。

・

かと言ってルンルンな返事は出来なくて

せめてもの申し訳なさをこめて
ちょっと淡白な返事を返すと

・

shoよかったら会いませんか?チョコ!買いに行きます??

・

すぐに返ってくる返事。

・

・

彼がチョコレート屋さんを覚えてくれたことは
素直に嬉しかった。

だけど、
いくら小さなお店とはいえ
都心にあるあのお店に日曜日に彼と行くことは到底無理だと思った。

・

・

Aチョコのこと覚えててくれてありがとうございます。でも行けないかな。ごめんなさい。

・

・

何も考えなくて良いなら行きたいけど、

そんなわけにもいかなくて

・

・

そう返事を返すと既読がつかなくなって

・

・

仕事がおわって

電車に揺られてる間にも

何度確認しても既読にならなくて。

・

・

それが彼の答えなのかな、
どういうつもりで私に連絡をくれたのか、わからないけど
もしかしたら色んな女の子にこういうことをして
釣れなければ無視して終わり。

・

そんな感じなのかもしれない。

・

あれだけの人ならモテるに決まってるし、
女の子なんて引く手数多だろう…

・

・

心のどこかで傷ついている自分を
そうやって励ますしかなかった。

・

・

そのまま音沙汰なく

夜22時を過ぎて

・

家のことも全て済んで落ち着いたころ

・

・

ヴヴーッ、ヴヴッー

・

・

テーブルの上でまたスマホが震える

・

・

「…えっ」

・

・

見れば画面には“sho“の文字なんだけど

・

・

様子がおかしい…

・

・

・

“sho”という文字の下には

・

・

《着信中》の文字がある。