スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ45)

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episode42 ページ45

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わたしの膝をまくらにして
スマホを見てる彼は

時折スマホを横にずらして私のことをみては

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満面の笑みでニコっと笑って
また、サラツヤの髪をさらさら…っと靡かせて寝返りを打つ。

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朝のあのしょぼくれた姿はどこへやら。

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仕事から帰ってきたと思ったら
一目散にキッチンに立つ私の背後にやってきて

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「ただいまぁ」

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当然のように腰に手を回すと

「おかえり」

「たーだーいーまぁー」

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それしか言わずに
私の背中に頭をぐりぐり。

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テーブルに並べたご飯も
「今日も美味しくてしあわせ〜」

なんて、

いつも以上に大袈裟に喜んでくれて

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ご飯を食べおったら、
テレビを見てる私の膝にストンと頭を乗せて

…最初にもどる。笑

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どうやら先輩達のライブに行った私が
先輩達のファンになるわけでもなく
ちゃんと自分のところに戻ってきたことが嬉しくて堪らないようで

飼い主にじゃれるワンコみたいに
無邪気にニコニコしている。

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でも

「本当は俺らのライブに1番最初に来て欲しかったなぁ」

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そんな本音もあったみたいで

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「…うん。いつか紫耀くんたちのライブはちゃんと自分の力で当てていく。」

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「いつでも招待するのに。特別席」

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紫耀くんはそういうけど、

今日はじめてライブ会場に行って思った。

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みんな一生懸命に申し込んで

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運命の当落をドキドキしながら待って

当選すれば嫌なことなんてどこかへいっちゃうくらいに嬉しくて

その日に向けて
少しでも自分を綺麗にしようと努力したりして

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当日は
共有する夢みたいな時間に感動し

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その日の思い出を心にまた日常に戻っていく。

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いつか紫耀くんたちのライブを見に行けることになったら

特別なんてなく、
きちんとそういう気持ちを持っていたいから。

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「でもなぁ〜…それでAさんが岸くんのファンになっちゃったら…。ジン…、ジンならいいかな…いやだめだめ。海人？なしなし。廉もなーし！」

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膝の上の紫耀くんは
ひとりで悶々としているけど…

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そんな気持ちは内緒に持っておこう。