スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ44)

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episode41 ページ44

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今日は紫耀くんの先輩グループのライブに
理央のお供として同行させてもらう日。

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今朝私より先に仕事に行った紫耀くんは、

「そんなかわいいワンピース着てったらだめやって！」

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「そんなキラキラのピアスしてくん…？」

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鏡の前で身だしなみを整えてる私に
あーだこーだいって

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「ほんま心配……」

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しょぼくれた背中で玄関を出て行った。

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「A、本当ありがとねー！」

「んーん、一度見てみたかったから！」

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ライブの会場近くで理央と落ち合って
人波を進む。

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思い思いのメッセージをこめたうちわや、
今日のためにおめかししたんだろうなぁって
女の子たちをみると、

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紫耀くんのためにこうしてくる女の子もいるんだもんなぁ…って
不思議な気持ちになった。

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DVDでは何度も見たけど
思えば紫耀くんのライブを生で見たことはまだ一度もないな、って

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実際のライブ中も

沢山のファンに応える姿を見て

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これが紫耀くんだったら…
　

とかそんなことばかり考えていて

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「最高だったー！！！またしばらく仕事頑張れるわ。Aも楽しめたかな？ごめんね、付き合わせて」

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「ううん、私も楽しかった！！誘ってくれてありがと！」

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違う方向の電車に乗る理央と駅で別れたら

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無性に紫耀くんに会いたくなって

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カバンから取り出そうとして
タイミングよく震えたスマホ。

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「もしもし、Aさん？おわった？」

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「うん、終わったよ。理央とバイバイしたとこ。」

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「そか。どうだった？ライブ」

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電話の向こうの紫耀くんは
朝のまま、
心なしか元気がないけど

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「紫耀くんに会いたくなったよ」

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「……」

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恥ずかしくて
つい人気がない柱の裏に隠れてから
小さい声でそう伝えれば

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しばらくの沈黙の後

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「もう、今すぐ帰りたい」

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掠れた声が小さく聞こえて。

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紫耀くんも同じように
どこかにこっそり隠れて電話してるのかなって思ったら

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「ご飯作って待ってるね。紫耀くんの好きなもの、たくさん。」

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愛しくてたまらなくなった。