スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ32)

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仕方なく紫耀くんに近づくと
向かい合う形のまま抱き寄せられる。

「ねぇっ…ちょっと」

当然お風呂の中だから
何も身につけていない訳で…

・

「やばーい…」

・

彼がそう呟く前から
嫌でも気付いてしまう、それ。

・

「…Aさん」

切なげに名前を呼ばれて、
その後に続く台詞が何かなんてわかってる。

・

・

今日は彼をとことん甘やかす日。

・

そう言い聞かせて

「…いいよ。紫耀くんの好きにして？」

筋肉が浮き上がる首へ手を回すと

「…なら遠慮なく」

素早く後頭部に回された手に引き寄せられて
甘く、深く重なる唇。

・

「逆上せそうやから、上がろ」

軽々私を抱き上げて
滴る水滴もろくに拭かずに

ベッドの上に降ろされると

「ほんまに好きにするけどええの？」

・

苦しげな顔で見下ろされる。

「…いいよ」

もう一度そう言えば、

・

いつもより激しく、
何度もカラダを重ねた。

・

・

「Aさんごめん、止まらんかった」

・

疲れ果ててウトウトしていると
紫耀くんは申し訳なさそうに私の髪を撫でて

「今日はほんとにたくさんありがと」

・

ものすごく優しいキスを１つだけ落とすと

「おやすみ」

小さく囁いて眠りに落ちた。

・

・

・

・

・

翌朝目がさめると

「んー……」

・

だる重い下半身。

「ほんまにごめん。俺のせいやもんね…」

どうしてもゆっくりになってしまう歩き方を見て
「どうしたらええ？」「あっためる？」「さする？」って慌ててる紫耀くん。

・

「そんなんじゃ電車乗れへんよな？仕事送ってく？」

・

私とは正反対に
やたらスッキリした顔で言うから

「だめ！！それは危険！！」

・

ちょっと憎らしいけど

・

「でもAさん辛そうなんやモーン！…しかもその理由が俺のせいなんて…」

・

そうやって落ち込むところはやっぱりかわいくて

・

「そんな気にしなくていいよ。これは幸せの代償のだと思えば！ねっ！」

・

そういうと、
またコロッと顔を変えて

「ハッ！！…それってつまり昨日の夜よかったってこと！？」

なんて言うから……。

もう。本当に、どうしたことやら。